「観る人を選ぶ作品ですが、伝説的なカルト作品に飛び込むのは有りかと思います。」不思議惑星キン・ザ・ザ 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
観る人を選ぶ作品ですが、伝説的なカルト作品に飛び込むのは有りかと思います。
上映を知った時から気になっていた作品を鑑賞しました。
で、感想はと言うと…変な作品w
コメディと言えばコメディなんですが、シュール、カルト、ナンセンスが付いて、面白いかと言えば、個人的には面白いと言う感じではないw
なんじゃこりゃー!と叫びたくぐらいの変さがなんか嬉しくなるぐらいw
なんか凄いモノを観た感じがするw
ロシア=ソビエト=ソ連の映画作品って、なんとなくなイメージですが、「固い」「暗い」「重い」「変」と言うイメージw
もちろん名作もあるんですが、いろんな事に「挑戦」をすると言う感じもあって、カルト心をくすぐる作品も多数。
古い所では「戦艦ポチョムキン」や「惑星ソラリス」なんて作品もありますが、90分ワンカット撮影の「エルミタージュの幻想」なんて実験的な作品もあり、「動くな、死ね、甦れ!」なんてタイトルの作品なんて…凄い作品名w
「政治的思想」「文学」「戦争」とイメージとアメリカに対しての悪や敵のイメージがあり、でも何処か慎ましくも純粋な香りも残っているんでよね。
今作はゲオルギー・ダネリヤ監督のSFコメディ映画で、日本の初公開は1991年。
1986年の公開当時はソ連での観客動員数が1570万人と言う驚異的な数字を記録し、殆どのロシア人がこの作品を知っているとか。
今も熱狂的なファンがいると言うにかわに信じられない様な感じのカルト作品w
今回はアニメ板の「クー!キン・ザ・ザ」の公開に合わせての上映公開との事。
ストーリーはモスクワに住むマシコフは妻に言われた「マカロニ」を買いに出掛けた際に出会った、バイオリンを抱えた青年ゲデバンから「裸足で奇妙なことを口走る男がいる」と聞く。その男に話を聞くと「自分が空間転移装置の事故によって異星から地球に飛ばされてきた異星人でこの星のクロスナンバーか座標を教えてくれ」と話す。
突飛な話し過ぎて信じられない二人だが、男の持っていた空間移動装置のスイッチをマシコフが押してしまい、二人は砂漠のど真ん中にワープしてしまう。
突然の事態に理解が出来ない二人の目の前に釣鐘型の宇宙船がやってきて、中から小汚ない宇宙人が出てきた。
もちろん、言葉が通じないが出てくる言葉は「クー」と「キュー」
そして、マッチが超貴重。
地球から遠く離れたキン・ザ・ザ星雲のプリュク星に飛ばされたマシコフとゲデバンはなんとかして地球に戻ろうとするが…
もう何処から突っ込んでよいのか分からないくらいにカルトでナンセンス。でやたらと「クー」と「キュー」が耳に残るw
どうしてこういう作品を撮ろうと思ったのか? また何でこれがロシアで大当たりしたのかが謎過ぎw
…ロシアンジョークか?w
でも、最初の展開はもの凄くテンポが良いんですよね。
特にワープで飛ばされるのなんて、全くの無駄が無い。
「スター・ウォーズ」のハイパードライブ(ワープ)が物凄く無駄に感じるぐらいに超シンプルw
でも、その後がいろんな事を積み重ねていくがいろんな所を堂々巡りしている感じで“最初のテンポの良さはどうした!?”とツッコミたくなるくらいw
完全にカルト作品で、変な映画好きにはたまらんでしょうねw
ちょっと気になったのは、そもそもロシア語には「長音」は存在しないんですが、単語の中には、基本的に一箇所「力点」というものがあり、そこが強く読まれるので、何となく長い音のように感じるだそうです。
なので、「クー」と聞こえているが、クーの「ク」の部分を強く読んでるので長い音の様に聞こえるんだとか。
…それでも、どう聞いても「クー」と伸ばしている様にしか聞こえませんけどねw
いろんな部分で難解と言うか、こちらの斜め上を行く感じで、これが30年以上前の作品か?と言う事にビックリ。
でも、よく観ると映画としての内容は友情的なモノや人種問題なども取り入れられているとオーソドックスかつ押さえるポイントは押さえられてるし、キツイ描写も無い。
終始マイルドな感じでホンワカな空気が漂う。
それが時折眠気を誘うが、そこを乗り越えると結構良いラストが迎えられるw
ただ、やっぱり中弛みはするし135分は長い。これが90分ぐらいならもう少し楽しめたかも。
小汚ない感じの服装に永遠に続く様な砂漠。無機質な色彩に滑りまくったギャグ(個人的には)になかなか疲れる感じではありますが、表面的な部分ではなく、深層的な部分を押さえて観られると楽しめるかもですが、それでもやっぱりカルトで観る人を選ぶ作品かと。
でも、変わり種が好きな人には押さえておいた方が良いかもなので、興味があれば如何でしょうか?な作品です。
クー!w
なるほど!
私、2001年に観るまで長らく本作をロシア古典SFだと思い込んでいたのだけれど、それって80年代に「キン・ザザ」と「ポチョムキン」の書評を同時に読んだ時の記憶がごちゃ混ぜになっていたんだな!と、今、気付きました。
松王◯さんのおかげで長年の(個人的な)謎が解けました。
ありがとうございます^ ^