「ベルリン映画祭の審査員は何を評価したのか?」袋小路 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
ベルリン映画祭の審査員は何を評価したのか?
ポランスキー監督は第一作目の
「水の中のナイフ」の主人公たちに比べて、
次作の「反撥」やこの「袋小路」で、
どうして異常人格的人物を主人公に
選び始めたのだろうか。
「反撥」に引き続き、
この作品でも、説明もなく、
いきなりの異常人格者の登場だ。
犯罪者は、夫婦が自分への反撃や逮捕に
繋がるかも知れない動きに全く無頓着。
夫は、幾らでもある犯罪者への
反撃のチャンスを選ぶ素振りさえない。
若妻は、怖い素振りも見せず、
何故が馴れ馴れしく犯罪者に近づく。
3人全てが異常だ。
あるいは、これはコメディ?
ポランスキーにコメディの才能が無いのは
「吸血鬼」で証明済だが。
笑えないコメディではないのなら、
3人の異常性について、
他の描写を省いてでも、
その原因を描かないと話に説得力がない。
ベルリン映画祭では、
「反撥」が銀熊賞、「袋小路」が金熊賞、
と高い評価を受けているが、
少なくともこれらの作品が
「ローズマリーの赤ちゃん」や
「戦場のピアニスト」を上廻ると
評価する向きは少ないのではないだろうか。
この映画祭が、
カンヌやベネチアに比べて影が薄いのは、
審査の観点が2つの映画祭に比較して、
少し偏向し過ぎているためではないかと
勝手に想像するのだが。
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