「映画はチョコレートの箱。開けてみるまで中身はわからない。 保守的だという批判もわかるが、やっぱり名画だ。」フォレスト・ガンプ 一期一会 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
映画はチョコレートの箱。開けてみるまで中身はわからない。 保守的だという批判もわかるが、やっぱり名画だ。
知能指数は低いが真っ直ぐな男、フォレスト・ガンプの半生を描いたヒューマン・ドラマ。
監督は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズや『永遠に美しく…』の、巨匠ロバート・ゼメキス。
主人公フォレスト・ガンプを演じるのは『ビッグ』『めぐり逢えたら』の、レジェンド俳優トム・ハンクス。
第67回 アカデミー賞において、作品賞/脚色賞/編集賞/視覚効果賞/監督賞/主演男優賞を受賞!✨✨✨✨✨
第52回 ゴールデングローブ賞において/作品賞(ドラマ部門)/主演男優賞(ドラマ部門)/監督賞を受賞!✨✨
言わずと知れた名作だが、大人になってから観賞するのは初めて。
子供の頃は凄くエッチな映画だなぁ…と思いながら観ていた気がするが、今観てもやっぱりエッチな映画だった💕
映画評論家の町山智浩さんが、本作をかなり厳しい口調で、というかブチギレながら酷評しているのをYouTubeで見て、そんな映画だったかしらん?と思い観賞してみた。
その酷評の中身についてはここでは著さないが、「うーむなるほど確かに…。」という部分と「いやいや、それは歪曲して受け取り過ぎやろ💦」という部分が半々と言ったところだった。
まぁ確かに保守的なところもあるかもだけど、よっぽど酷いものじゃない限りは、映画と政治は切り離して観賞するべきだと私ゃ思いますけどねぇ。
とはいえ、自分の息子にKKKの創始者の名前を名付けるのはどうかしていると自分も思う。作中でその理由を説明していたけど、全く納得出来るものでは無かったね。
本作は感動作として名高い。
確かに自分もかなり感動しながら観賞していたが、一体何に感動したのか上手く言葉にすることが出来ない。
というのも、これはラブ・ストーリーでは無いし、失恋の物語でも無い。家族愛のお話でも無い気がする。
見様によっては、ありふれたアメリカン・ドリームのお話であり、信じる者は救われるというキリスト教原理主義的なお話でもあり、古き良き南部の白人を礼賛するお話でもある。
日本人には縁遠い物語なのに、一体何が感動させるのだろう?
色々考えて思いついたんだけど、この映画って実は『市民ケーン』なんじゃないか?
億万長者になり、必要なものはなんでも手に入るが、心の底から手に入れたいと願うものは全て掌から零れ落ちる…。
愛する母親、ジェニー、バッバ…。彼にとっての「バラのつぼみ」は全て散っていく。
その寂寥感こそが、本作の要なのでは無いだろうか。
本作のヒロインであるジェニー。
奔放にあちこちをふらつき回りながら、フォレストとは付かず離れずの関係を保ち続ける。
彼が大金持ちになった後に近づいてきて、またふらっと離れたと思ったらその数年後に彼を呼び出し、この子供はあなたの子なのだと言う。
かなり厳しい境遇の女性なので同情的に見てしまうが、冷静に考えるとスーパー・ビッチ。まあそこがこの映画のキモなんだけど。
多分だけど、フォレストJr.はフォレストの子供では無いよね。
ジェニーの暮らしぶりはシングル・マザーにしてはかなり裕福そうだった。彼女の生活の面倒を観ている男がいたんだろう。もしくは身体を売って生活して居たのかもしれない。
いずれにせよ、フォレストJr.は複雑な事情の末に生まれた子供なのは間違いないと思う。
んで、自分がHIVにかかり、命の期限が迫ってきていたからフォレストに連絡を取り、彼の子供だと嘘をついてフォレストJr.を育ててもらう算段をつけた。
我が子のためには手段を選ばないと言う姿勢は、フォレストを学校に入れるために体を売ったガンプ夫人のそれと重なる。
ジェニーとフォレストは結婚するが、彼女がフォレストに対して愛情を持っていたのかは結局分からずじまい。
食べてみても何味かわからないチョコレートも、世の中には往々にして存在する。
しかし、フォレストは彼女のことを愛していたし、彼女もまた自分のことを愛しているのだと、一片の曇りもなく信じていた。
その一途さと、それに付随する悲しみこそが本作の普遍的な美しさの根源なのだと私は思います。
知能指数の低いフォレストを演じるトム・ハンクスの演技力は見事と言う他ない。
彼の演技力があってこそ、この映画は名作足り得ているのだと思う。
本作の脚本を担当しているエリック・ロスは、2008年の映画『ベンジャミン・バトン』の脚本も担当している。
これはほとんど『フォレスト・ガンプ』の焼き直しなんだけど、『ベンジャミン・バトン』の方が自分は好きだったりする。
子供の頃は本作の名言に対し、「チョコレートの箱の中に入っているのはチョコレートに決まってんだろ笑」とか思っていたんだけど、改めて聞いてみるといい言葉だ。
映画もチョコレートの箱と一緒。開けてみるまで中身はわからない。昔食べたチョコレートを、久しぶりに食べてみるのも良いものです😆
たなかなかなかさんへ
また、色々と教えて頂きました。
「市民ケーン」的との御指摘、新しい気付きでした。
ただ、私はフォレストJr.はやはりフォレストと子供で、
ジェニーが余命幾ばくも無い中でフォレストと結婚したのは彼女の懺悔だったと思っています。
その方が、この作品に、より感動出来るとの心が働いたのでしょうか😊
これからも、たなかなかなかさんのレビューを楽しみです。
今後とも、映画.comでのお付き合いのほど宜しくお願いいたします。
この映画を鑑賞してから、映画評論家の町山智浩さんのユーチューブを見てみました
原作がビカレスク小説で、映画とは全く違っていること、黒人差別が描かれていないこと、リベラル派を批判していることを知りました。
当たっている部分もあれば、それは深読しすぎだろうと半々です。アカデミー賞を多部門受賞できたのは脚本家のおかげだと思います。
何故、キング牧師が出て来ないのだろうと思っていました。町山氏によると撮影はしたが編集でカットされたらしい。映画の趣旨に合わないのがその理由です。ちょっと首をかしげます。
見ました、聞きました。説得力ありました。反論としての映画も作られた、それは素晴らしい。そして町山智宏が女性、黒人まるで無視して作られた映画、フォレスト(嫌な言い方だけど「知能遅れ」)的人物こそ・・・。うーん、なるほどわかってなかった。捏造、アラバマ、黒人差別。私はわかってなかった。この映画が選挙に使われて共和党が勝ったのかー。68年はドイツも激しく学生運動があり親世代や教授世代に若者が激しく異議申し立てをした。でもアメリカは黒人差別とベトナム戦争があって把握できなかった。たなかなかなかさん、ありがとうございます。「武器としての映画」に映画はいつでもなりえる。うー。
コメントありがとうございます。トム・ハンクスの演技ときれいな目と語りがなければ、アップルの株とか、アメフト→大学とか、一緒にエビとった軍隊時代の上司の彼女がアジア系だとか、68年の運動のときフォレストが話す時だけマイクがきかなくなるとか、当時の大統領に会えているなどの色々が多分すごく気になってしまったと思います。町山智浩さんがぶち切れてるの見てみたい!