フェリーニのローマのレビュー・感想・評価
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猥雑さの生命力
イタリア・ネオレアリズモの旗手、映像の魔術師と異名をとるフェリーニらしい作品。彼の美意識は煩悩に赴くまま、低俗ゆえの制御のきかないエネルギー、生命力の表現を描いているが共感だけでなく罪悪感も見え隠れする。ローマは確かに歴史の古い都市だがおよそ人が群がるところには混沌とした猥雑さと活気があるのだからイタリア人やローマに限らずとも同様の心象風景のコラージュは作れるだろう。いたってナーバスな青臭いものに感じるのは劇中にも登場する18歳でローマに上京したフェーリーニ自身のインプレッションが強烈だったのだろう。
そもそもフェリーニがどう感じたかは彼の自由、評価できないので単に好みでの星数です、イタリアには世界に誇るべき美しいものやおいしいものが溢れているのでそちらも期待したのだが観光PR映画もどきにしたくなかったのでしょう。
映像だけ
地下道で遺跡を発見した幻想的なシーンや教会ファッションショーが面白い。
ストーリーもあるような、無いような。ドキュメンタリーというよりも映像コラージュといった感じ。不思議感覚いっぱい。フェリーニは声だけ登場してるようですけど、孫(?)も出てた?
作品に込められている不純物で消化不良気味
1972年イタリア映画。120分。今年35本目の作品。「道」や「甘い生活」など独特の映像美が光るフェリーニ監督の作品。個人的には本作がフェリーニ監督の初のカラー作品。
内容は;
1930年代から70年代のローマの街の風景や群像劇を描くことで、その荒廃ぶりを描いている。
本作は、ドキュメンタリーとフィクションの中間にあるような作品でしょうか。フィクションと呼ぶには筋書きがなく、さらにドキュメンタリーと呼ぶには設定が架空過ぎる。巨匠だからこそ作れるようなつかみ所のない(それでいて高尚な)作品です。
フェリーニと言えば、やはり独特の映像感覚。個人的にはまさしく天使が宿っているような映像美。物語はどん底なのになぜか気持ちが落ちないあの映像美。
本作の最初の一時間はその映像美が素晴らしく、内容が今ひとつ掴めなくてもついて行けましたし、心は恍惚としました。それでも、それまで見てきたフェリーニ作品とは何かが違う。神聖なるものが荒廃しているのです。
それに気づいたのは後の一時間。フェリーニ作品ではお馴染みの動物や子供などがまったく出てこなくなります(そして、これが故意であることは観終わってから分りました)。
後半は宗教的なカルト色がかなり強く、正直しんどくなりました。本作はローマという街に対する教養が必要とされる作品だと思いました。
イタリアの国宝・フェリーニ監督は、ローマの偉大なる文化が風化しようとしている様を描こうとしていたのだと思いますが、ほんと、後半はまったくついていけなかったです。
でも、やはりあの映像はすごい。
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