劇場公開日 2020年8月2日

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「面白かった✨」8 1/2 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5面白かった✨

2021年3月2日
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鑑賞方法:映画館

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祝祭劇系の歌舞伎みたいだった。映像そのものを楽しめばいいんだな、と思った。TENETみたいに、考えずに感じろ!さらに、目で楽しめ!

ソレンティーノの映画が好きで、彼が「フェリーニの継承者」と言われる意味が、「道」と「甘い生活」しか知らなかった自分にはよくわからなかった。でも、この映画を見て分かった気がした。ソレンティーノの「グレートビューティー」も「グランドフィナーレ(原題:Youth)」も「LORO」も、妻または初恋の女性の存在が重要で、単細胞的幼児性から離れられない(いい年した)男性を、ママ(=妻)は全部認めてくれる?という願望と、それを許してくれない現実がせめぎ合っている。そして若さと老い・死が大きなテーマとなっている。

フェリーニの時代、多分どこの国でも、40代といったら立派な大人で中年。でも社会で貼られてしまった「大人」レッテルと、「実は自分、まだガキなんです」実態を映像にしてみたよ、がこの映画なんじゃないかなあ。

子どもの頃の呪文、大人の世界を垣間見たドキドキ感、王子様みたいに扱われた快感の記憶、妻がなんでも許してくれたらどんなに素敵でしょう願望、ハーレムへの憧れ、若い人だけ居ればいいから年寄り不要!、仕事でむかつくあいつ死ね!なんとまあ身勝手な。で、最後は大団円!歌舞伎とか長唄が大得意とする、色々ありましたが、明るく踊ってめでたくお賑やかにお開き~。なんかすごく慣れ親しんでる世界でびっくりした。こういう映画をドラマトゥルギーが大昔からあるヨーロッパで作るって、すごい大変で勇気がいったのではないかと想像する。

修道女やカトリックの坊さん、鳥の鳴き声、温泉療法での行列、番号で呼ばれる、美女、パフォーマンス、記憶・夢想・空想世界は、上で挙げたソレンティーノの映画にも出てくる。主人公は名をなした作曲家だったり処女作1本だけの小説家だったり政治家だったり。共通点は、老いている、超リッチである、知り合いは皆セレブである。

冒頭の渋滞道路で、動く映像が静止画像になるところがすごく好き。映像の面白さは抜群だと思った。

グイドの妻ルイザはアヌーク・エーメなんだ!全然わからなかった。美しい!清楚で純粋な感じが、フェリーニのパートナーのジュリエッタ・マシーナを彷彿とさせた。マストロヤンニは黒縁メガネがハンサム度を少し下げて、コミカル度を上げてた。

音楽は、いきなりワルキューレかー!くるみ割り人形のチェレスタ?とビックリしたので、ニノ・ロータの音楽がどれだかなんだかわからなくなってしまったのが残念でした。

talisman
とみいじょんさんのコメント
2021年4月5日

コメントありがとうございました。

音楽、意表を突かれましたね。
 そんな遊び心にも、この映画に惹きつけられるポイントの一つです。
 この選曲もロータ氏でしょうか。そのセンスに脱帽しています。

とみいじょん
CBさんのコメント
2021年3月2日

> 社会で貼られてしまった「大人」レッテルと、「実は自分、まだガキなんです」実態を映像にしてみたよ、がこの映画なんじゃないかなあ。

なっるほどねえ〜
感心!!!

CB