「ゲイの切ないお話は幻想的な映像とともにイグアスの滝に流れる」ブエノスアイレス もしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
ゲイの切ないお話は幻想的な映像とともにイグアスの滝に流れる
16年前?に劇場でみて、そのインパクトを忘れられなくて、思わずDVDを買ってしまいました。
いや、やっぱり今見てもすごいです…。その映像美に圧倒。
当時大学生だった自分は、「こんな部屋に住もう!」って本気で思ったり、アルゼンチンに行こうと思ってしまっていました…
さて、お話はというと、真面目なゲイとちゃらいゲイが別れと再開を繰り返しながら自分の人生を見つめ直して行くというもの。僕はゲイではないので、ベットシーンとか本当にやめて欲しかったですけどね…。
ウィンとファイは喧嘩しながらもお互いに依存をして、最後はここに戻る…的な感じがあったんでしょうね。ウィンはファイに甘えに甘え、ファイはおそらくそれをよしとはしなくとも、自分の存在の確認にはなっていた…って男女の恋愛でも良くある話ですよね。
ウィンとファイは本当に愛し合っていたかはわかりませんが、2人でイグアスの滝を見ようと。2人でみようと約束します。そして、その旅の途中で道に迷ったことがきっかけで、ストーリーはうごきだす…と。
ファイが働く厨房の後輩のチャンと仲良くなり、ファイはチャンに思いを寄せて行くものの、チャン自体はノーマルな旅人。世界の果てを目指して旅をしていたため、別れに。そこで、チャンはファイの悲しみをテープに記録しそれを世界の果てにすててくる…と。
そして、チャンは南米最南端の灯台に。ファイは香港に帰るお金をためてイグアスの滝に。
このラストを飾るべく2つの場所の映像と、その後の香港に戻ってからの、喧騒と近代的な鉄道のシーンの美しさがとてもよかったです。
ファイはイグアスの滝を一人で見てから、香港に戻るわけですが、チャンの実家の飲食店によって、チャンが南米最南端の灯台にいった写真をくすねてくる、そして、「いつでも会える」ということを実感します。
お互いの存在そのものに固執し依存をしていたファイは、ウィンと喧嘩をしてチャンと出会い、イグアスの滝を見ることで、物質的なつながりではなく心のつながりということに気づくのでしょう。
といいながら、男だけでこのストーリーってはっと気付くとかなり異質ではありますが、ブエノスアイレスの感じと男だけの異質な感じはとてもマッチしていたと思いますし、なにより映像がすごい!!
本当によい映画があったな…とあらためておもいました。