ファニーとアレクサンデルのレビュー・感想・評価
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わが敬愛するベルイマン監督、集大成的作品‼️
おそらくベルトルッチ監督の「1900年」と並んで、世界最強の5時間超え映画ですね‼️スウェーデンのブルジョワ、エクダール一家の二年間を、彼らが経営する小劇場を通して描いてます‼️突然夫を亡くした妻は主教と再婚、主教館に移り住むが、ムチや欠食で子供をしつける夫に耐えられず離婚、監禁同様だった子供たちも主教館から救出される・・・‼️実質、イングマール・ベルイマン監督の遺作となってしまった作品ですが、今作にもこれまでのテーマである神の問題、肉親の絆、生と死といったテーマが集大成みたいな感じで盛り込まれてます‼️そんな中で物語の核となるのは、聖職者の偽善‼️独善的な主教に怯える母と二人の子供たちの構図はサスペンスフルで、どこかゴシックホラー風味でもある‼️ベルイマン監督の作品としては大変わかりやすい物語と映画的構成で、それが5時間11分という長尺をまったく飽きさせない要因ですね‼️ホントに素晴らしい‼️
5時間11分は長すぎる
長い、長すぎる。5時間11分は、とてもじゃないが集中力が持たなかった。そのため、本作が面白いのかつまらないのか、出来が良いのか悪いのかよく分からず。
よくわかんないながらも、印象に残るのは主教エドヴァルドです。ベルイマンの父を連想させるキャラクターでした。神の名の下に家族を虐待するエドヴァルドの姿に、宗教が持つ負の側面がありありと見出せます。ベルイマンもこんな風にやられていたのかなぁ、なんて想像しました。
そんな父も、仮面が顔に食い込んで離れないとか、息子が怖いとか言っているので、ベルイマンはかなり毒親を人間化できたのだなぁ、としみじみしました。過去作『ペルソナ』でベルイマンは自分自身の二面性というか多面性を掘り下げようと試みたので、想像力がさらに鋭敏になり、悪の象徴にも人間的な苦悩があることを実感できるようになったのかもしれません。
また、主教エドヴァルドは父であり、ベルイマン本人でもあるようにも思えます。主教エドヴァルドは登場人物の中では最も複雑な内面を持っているので、どこがどう、とは言えませんが結構自分を映しているのでは、なんて想像してます。
印象に残るシーンは、ヤコビの館にいるイスマエルとアレクサンデルの邂逅でしょうか。深読みできそうな場面でもあるし、イスマエルのキャラが立っているのでポップなサイコホラーとしての単純なエンタメシーンにも思えます。
自他が融合するという、非常に揺さぶられる場面なのですが、その後の展開がサイキックで仇敵をやっつけるみたいになってるのがなんとも通俗的。七瀬ふたたび、とかのノリですからね。ベルイマンにしては珍しい。
本作を撮った後、やりきったという理由で監督業からほぼ足を洗ったわけですから、こういう大衆ウケもやりたかったのかもしれません。
ほぼ最終作である上、異常な大作なので、本作はベルイマンの集大成的な評価がされがちのようです。個人的には集大成というよりも、リミッターをカットした、遊び心全開の娯楽作品といった印象。集大成はむしろ『叫びとささやき』なのでは、なんて考えています(叫び〜も好きじゃないんですがね)。
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