劇場公開日 1971年5月1日

「【”愛を持てない男”恵まれた家庭からのドロップアウトの果ての哀しみと虚無を描いた作品。”俺がいないと全てが上手く行く。俺は疫病神なんだ・・。”という台詞が男の哀しみを表現している作品でもある。】」ファイブ・イージー・ピーセス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”愛を持てない男”恵まれた家庭からのドロップアウトの果ての哀しみと虚無を描いた作品。”俺がいないと全てが上手く行く。俺は疫病神なんだ・・。”という台詞が男の哀しみを表現している作品でもある。】

2022年10月10日
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■石油採掘場で働くボビー(ジャック・ニコルソン)は、何事にも熱意を感じられず、無目的な日々を送っている。
 ある日、同棲相手のレイ(カレン・ブラック)が妊娠。結婚を迫る彼女から逃れるために訪れた姉の家で、父が倒れたと聞かされたボビーは、レイを連れて3年ぶりに帰郷するのだが…。

◆感想

・今作は、資料によると公開が1970年である。「イージー・ライダー」に代表されるように、自らの周りの全てを捨て去り、新しい価値観を追い求めていた人々が、多数いたとされる時代である。

・今作のジャック・ニコルソン演じるボビーも、同系列であろう。恵まれた音楽一家から3年前に居なくなり、その後は炭坑などで当てのない生活を送っている。

■今作の名シーンと言えば、ラスト近くボビーが認知症を患った父を海岸に連れていて、涙を流しながら、語った言葉であろう。
 ”俺がいると、その場の空気が悪くなるから、逃げ出しているんだ。俺がいないと全てが上手く行く。俺は疫病神なんだ・・。”

・つまり、彼は新しい価値観を求めて居たわけではないし、只、家族や友人を思い、”自分がいると皆駄目になってしまう・・”との想いから漂泊の旅に出るのであろう。

<今作は、ジャック・ニコルソンの初主演作だそうであるが、そんな哀しき男を見事に演じていると思った作品である。>

NOBU