劇場公開日 2022年1月21日

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「一筋縄では行かない難解な映画だと思います」昼顔(1967) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0一筋縄では行かない難解な映画だと思います

2019年7月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

カトリーヌ・ドヌーヴ24歳
シェルブールの雨傘が21歳
ロシシュフォールの恋人たちは本作と同年の製作
本作まではどちらかといえば清純派の娘役が多かった彼女ですが、それが本作では正に有閑マダム
化粧も衣装もそうで年齢以上に見せています
物凄く美しい!正に大輪の赤い薔薇です
豪華な金髪、細いのにグラマラスなのです

大人の女性に脱皮するためのイメージチェンジの映画と言えるでしょう
その彼女が娼婦役を演じ、裸にもなり下着姿を晒し、SMプレイに体当たりするのです
いささかショック療法ですが、効き目は絶大でした

本作から半世紀以上時代は進み、ポルノは溢れかえっています
しかし本作はそれににも関わらず、21世紀の私達に取っても刺激的です
74年のエマニュエル夫人よりもエロチックであると思いました

お話の内容はどこまでが現実でどこからが彼女の妄想なのか混然としており入り交じっています
全ては彼女の妄想の物語で、ことによるとラストの室内のシーンだけが現実だったのかも知れません
しかし少女時代の消せない性的記憶のシーンは現実なのだとおもいます

性への欲求を拒絶し隠そうとする気持ちと、性の喜びを楽しみたい気持ちが相反して激しい葛藤が彼女にもたらす妄想のストーリーだったのだと思います

つまり、その葛藤の根源は少女時代の性的ないたずらを受けて、声も上げれず抵抗感できなかった記憶にあると読み取れます
怖くてたまらない記憶、しかし快感も感じてしまっていたのかも知れません
それが彼女を性への自然な欲求が抑圧され、妄想の世界の中でも、抑圧され支配されつつも性の喜びを得るという世界に浸ってしまうのでないでしょうか

性的なシンボルが全編に散りばめてあります
吹き上げるシャンペンの瓶
死んだように眠っているベッドの中で突き上げられる律動
服装は聖母マリア様で処女であったことを説明しています
テーブルクロスの下に隠れての律動
親にも誰にも隠れての性行為のことです
封筒のなかのゆりの種とは何でしょう?
封筒とはもちろん女性の膣、ゆりの種とは精液のシンボルに他なりません
終盤にユッソンが瓶の下を割るのは、男性器が機能しないシンボルではないでしょうか

冒頭とラストは馬車の鈴の音が響きます
少女時代の性的いたずらを受けた相手は配達員のような服装をしていました
馬車=乗り物に乗って否応なしに自分に性的体験をもたらす存在を示しているのだと思いました

一筋縄では行かない難解な映画だと思います

あき240