ビヨンドのレビュー・感想・評価
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ルチオ・フルチ監督の『地獄の門』と『ビヨンド』の名画座2本立て鑑賞...
ルチオ・フルチ監督の『地獄の門』と『ビヨンド』の名画座2本立て鑑賞。
続いては、1981年製作『ビヨンド』。
米国ルイジアナに建つ古い廃ホテル。
ニューヨークで暮らしていたライザ(カトリオーナ・マッコール)は、そのホテルを遺贈される。
改修をして再開を目指していたが、改修工事で職人のひとりが、白濁した瞳の女の姿を目撃して、転落死。
駆け付けた医師のジョン(デヴィッド・ウォーベック)は、「なにかあれば手助けをする」と申し出てくれる。
というところからはじまる物語だが、巻頭、モノクロ映像で60年前にホテルで起きた事件が描かれます。それは・・・
36号室で奇妙な絵を描いていた画家が村人たちからリンチに遭い、ホテルの地下で磔にされ、生きたまま酸で顔を焼かれ、そのまま生き埋めにされてしまう。
画家が描いていたのは、このホテルの因縁。
地獄へと通じる7つの門のひとつの上にこのホテルが建てられており、門を通じて観た光景だという。
ほほー、地獄のホテル。
時期的にはスティーヴン・キング『シャイニング』の模倣かしらん。
さて、ホテルの修繕を続けるライザであったが、水道が出ないことはいかんともしがたく、配管工を呼び、地下室での作業を依頼するが、配管工は惨殺されてしまう。
またある日、買い出しに出かける途中、ライザは道路で盲導犬を連れた若い女性に出逢う。
彼女の瞳は白濁しており、彼女に導かれるように、彼女が暮らすコロニアル風の邸宅へ行き、そこで「エイボン書」なる稀覯本を発見する。
本には、7つの門のことが書かれており、白濁瞳の女もライザに、ホテルから立ち去るように告げる。
しかし、後日、その話を聞いたジョン医師がコロニアル風邸宅を訪れるが、そこは50年前から無人であり、「エイボン書」だけが遺されていたという・・・
と展開します。
「エイボン書」とは、『地獄の門』に引き続き、H・P・ラヴクラフトですね。
また、ここでもダシに使われるだけですが、奇妙な雰囲気づくりには貢献しているので、もう許しちゃうからね。
中盤までのミステリアスなムードや伏線は悪くありません。
が、やはり見せ場は血みどろシーンのようで、大蜘蛛の襲来や復活する死体と例によって例のごとく。
ジョン医師はライザとともに、友人医師を頼って勤務する病院に逃げ込みますが、当然のことながら、復活死体のオンパレード。
そりゃ、当然だろ!ってツッコミたくなりますが、よもや死体復活が起こっているとは思わないもんね。
終盤はさらにビックリ。
復活死体のカーニバル状態の病院からホテルの地下室へ。
60年前の画家の死体も登場し、遂には・・・「ビヨンド」! 画家が描いていた絵の世界に到着。
うう、この虚無的ラスト。
拍子抜けならぬ、現世抜け。
伏線回収などといったことは、どうでもいい、忘れた、忘れてくれ、ビヨンドなんだから、というフルチの声が聞こえてきます。
いま気づいたけど、7番目の門を破ったということは、これはルチオ・フルチ版『第七の封印』ではありますまいか。
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