「多くの兵士たちが眠る上に咲き誇るヒマワリ、どこまでも広がる様に見えるその規模に感慨」ひまわり(1970) Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
多くの兵士たちが眠る上に咲き誇るヒマワリ、どこまでも広がる様に見えるその規模に感慨
ビットリオ・デ・シーカ 監督による1970年製作(107分/G)のイタリア映画。
原題:I girasoli、配給:アンプラグド。
劇場公開日:2023年7月28日、その他の公開日:1970年9月(日本初公開)、1974年10月、1982年11月、2011年12月17日、2020年6月1日
ウクライナ侵攻が有り、あのヒマワリ畑はウクライナのロケということで再度注目を集めていて、再視聴。高校生の時に名画座で見て、感動して以来。
今見るとそれ程でも無いのだが、ソ連の有名女優だったリュドミラ・サベリーエワの儚げな美しさとヘンリー・マンシーニの美しい音楽に、当時メロメロになったのを思い出した。そして今見ても、水平線の向こうまで続く咲き誇るヒマワリのパノラマ的映像に、その下でソ連兵とドイツ兵のみならず大勢のイタリア兵も眠っていると思うと、感慨を覚えると共に圧倒もされた。
全く覚えていなかったのだが、マストロヤンニが作り過ぎた卵料理で新婚2人がゲンナリとしたり、徴兵回避の為に精神異常を装ったりと、前半は結構コミカルな演出。新婚2週間は徴兵されないとは、何ともイタリアらしい制度とかなり驚き(調べてみると、開戦初期の1940年と翌年の出生数は実際に増えていた)。
大女優ソフィア・ローレンの名前は知っていたが、このオバさんのどこに魅力が?と高校生だった自分は不思議であったが、今見てもわざと濃い色の肌のフケメイクを施していて、夫カルロ・ポンティが製作者でもあり、かなり不思議(その後、生命力に溢れて美しい彼女主演の映画を幾つか視聴)。
多くの庶民的オバさんを本映画のメインターゲットとしたかったせい?ただどうしても、サベリーエワの白さと若さが、より際立ってしまった印象は有る。そんな魅力的な現地妻なのに、マルチェロ・マストロヤンニの心は、ずっとソフィア・ローレンの方にある様。そうでないと悲恋ドラマにならないということかもしれないが、おじさん的には何とも不自然にも感じた。
恥ずかしながら、独ソ戦というイメージが強く、イタリア兵が多勢ソ連に赴き戦って亡くなったことを十分にイメージできないでいた。今回、雪上の敗残行軍で全く歩けなくなり横たわって死にかけているマストロヤンニを、リュドミラ・サベリーエワが重いのに足を引き摺り一生懸命に家に運び込もうとする映像を見て、かなり違和感を覚えてしまった。
周りには多くの兵士が倒れており、素直では無い気もするが、若い兵士を助けて夫にしたい彼女の邪心をイメージしてしまった。夫を必死に探して、ついに見つけ出したソフィア・ローレン中心のつくりであり、もしかして監督も、そう思われることを意図していた?
最後はひまわり畑の美しい映像で終わったが、今また、あのウクライナのひまわり畑は戦場になっているのだろうか?
監督ビットリオ・デ・シーカ、製作アーサー・コーン、 カルロ・ポンティ、製作総指揮ジョセフ・E・レビン、脚本トニーノ・グエッラ、 ゲオルギ・ムディバニ、 チェザーレ・ザバッティーニ、撮影ジュゼッペ・ロトゥンノ、音楽ヘンリー・マンシーニ。
出演
ジョバンナソフィア・ローレン
アントニオマルチェロ・マストロヤンニ
リュドミラ・サベリーエワ
こんばんは♪
共感ありがとうございます😊
なかなかお詳しいですね。
ソ連の女優さんは有名な方だったのですね。Sophia Laurenのお顔は特徴的で好き嫌いありそうですが、存在感凄くないですか。
あんなに多くの亡くなった兵士の墓、戦争本当にイヤですね。