劇場公開日 2023年7月28日

「キズを隠して余りある作品」ひまわり(1970) トコマトマトさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0キズを隠して余りある作品

2022年5月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ヘンリー・マンシーニの音楽、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ…それぞれの目の表情、そしてひまわり畑の青空と黄色の花…。
これだけを見れば、この映画から感じることはたくさんあるだろう。

本来戦後10年くらい1950年代半ばかせいぜい60年くらいの時代設定だろうに、映る場面は1968-69年くらいの旧ソ連のウクライナである。2020年代から見れば、50年以上前の当地の様子でも時代遅れ感はあるだろうが、西側の映画撮影隊がソ連で現地ロケするという困難さに対して、映像面で結構妥協したような印象をいくつか受けた。それが見る途中にも引っ掛かり、「戦争で割かれた1組の男女」という大きなテーマが、ぼくには霞んでしまう面もあった。
それでも、そんな傷をも、演者の目の演技とドラマチックすぎるようなメロディー、映像が十二分にカバーしている。
50年以上たってはいるが、やはり見ておくべき1本ということに異論はない。
東京から小一時間かけて千葉・柏まで行ったが、さすがにリバイバル公開から2カ月近くたっておりガラガラであった。

町谷東光