「「行ってみたいなよそのくに」日本語でしかわからないこの箇所を敢えて選ぶ皮肉の妙」ひとりで生きる sugar breadさんの映画レビュー(感想・評価)
「行ってみたいなよそのくに」日本語でしかわからないこの箇所を敢えて選ぶ皮肉の妙
2年前の前作と比べて、フランス資本が入ったからか、ビジュアルが決まっていて、編集も荒削りでなく、音楽が流れる時間も増えたように感じた(イタリア民謡マリアマリなど)。要は作品が洗練されたということ。
とはいえ描いている内容は前作以上に貧困、インモラル、狂気であり、洗練というのはおかしいかもしれないが。
反面、前作の不器用ながらも、原石のような無垢な感覚は失われてしまった。
好みの問題だが、私は本作の方が気に入った。
ラストに至る描写がとにかくすごい!
ガリーヤもワーリャもママもブタのマーシャも隣人母娘もヤマモトも皆去ってしまった。まさに「ひとりで生き」ていくしかない。ぼろぼろの鉄橋の上を盲目で杖つきながら歩く危うさで。
最後、もがきながら必死で泳ぐワレルカの孤独感、寂寥感が半端ない。
久々に人の温かみがとても恋しくなった映画である。
コメントする