劇場公開日 1988年10月29日

「衝撃のラストが尾を引くSFアクション刑事(デカ)バディもの!」ヒドゥン(1988) モアイさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0衝撃のラストが尾を引くSFアクション刑事(デカ)バディもの!

2024年7月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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後に「ツイン・ピークス」のクーパー捜査官を演じるカイル・マクラクランが謎めいたFBI捜査官を好演し、相棒となる所轄刑事を演じるマイケル・ヌーリーは「フラッシュダンス」で主人公の恋人で製鉄所社長だった彼です。

ひと昔(もう、さん昔ぐらい前か?)のテレビでは頻繁に放映されていたこの映画。
遊星からの物体X(82年)、ブレードランナー(82年)、ターミネーター(84年)等々80年代のヒット作のエッセンスをふんだんに盛り込んでいますが、必要なところだけサクッと拾い上げてテンポのいい作品に仕上げています。とにかくオープニングから惜しげもなくカーチェイスと銃撃戦を見せてくれ、掴みはバッチリです。

走っていくうちに衝突を繰り返しボロボロになる車と危険スタント、そして仕上げの爆発炎上。
この時代の映画って爆発シーンは引きのアングルなんですよね。本当に爆発させるからカメラやフィルムが焼かれちゃいけないんで距離を取ったアングルで撮影されます。もうね、それが最高なんですよ。

CGを使えば危険もなく、もっと自由なアングルで迫力ある映像を撮れるのは分かっています。分かっていますが、心のどこかでまたCGか・・・と冷めている自分がいるのです。
愚かな消費主義のなれの果て的な感覚なのでしょうが、今となってはこの引きのアングルでの爆発炎上を見ると、映画という作り物の中に確かな本物を見る思いがして堪らないのです!

まぁそれはいいとして、人に寄生するエイリアンはとにかくアグレッシブなロックとフェラーリが大好きで、レコード店でカセットテープを強奪し、盗んだフェラーリのカーステレオでガンガンにかけながら街を流し、車を降りてもラジカセで音楽を楽しむ程です。
押し入った家にあったレコードプレイヤーを掛けみてカントリーが流れると、プレイヤーを床に叩き付けて壊すほど偏執的な好みをしています。
しかもそれを善良なオッサンに寄生してやっているので、絵面は中々アレな感じになっているのがいい味出しています。

そして捜査の手が間近に迫ると、宿主を次々に変え追跡をかわします。時には女性や犬にも寄生し、色々なシチュエーションを楽しませてくれるのです。
ただ追手の刑事の上司や同僚に寄生した際に、寄生された上司や同僚を銃で撃ちまくる刑事たちの迷いのなさには唖然とします。
ゾンビ物だったら、確かに違う存在になってしまったけれど、ついさっきまで友人だったり恋人だった人になかなか銃を撃てない悲哀ってありますよね?ところがこの作品にはそんな躊躇い一切ありません!!映画を見る限り上司も同僚も嫌われているような感じはなかったので余計に悲しいです!

でもそういう明らかなツッコミどころが散見されながらもスイスイ見られてしまうのはテンポの良さはもちろん、ベタではあるけれども主演二人のコンビが互いのやり方や考え方の違いはありながらも一緒に犯人を追ううちに友情が芽生えていく様が魅力的に描けているからではないでしょうか?

ラストはそんなことしてしまってこの後どうするんだよ?ってオチが待っていますが、それがまたこの作品の評価を一つ上に押し上げている要因だと思います。

日本人的にはどことなくウルトラマンに設定が似ているのもポイントが高いこの作品。名作です。

モアイ