ヒッチコックのゆすりのレビュー・感想・評価
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卓越した演出
Amazonに「恐喝(ゆすり)吹替版」として上がっていたものを鑑賞。
画質はもう鑑賞に耐えるギリギリなレベル。
イギリス初のトーキーの名残り?か、オープニングばずっとセリフなし。
え、サイレント映画? と思った頃に急に喋りだして二度びっくり。
これはトーキーに不慣れな観客のための親切設計?
入りはベタな推理サスペンスのように見えて、途中から精神的なスリラーに転調していくところがいかにもヒッチコックっぽい。
事件が起こるまではやや退屈に感じるほどのあっ軽〜いムード。「バルカン超特急」でも乗車までが長かったんだよなぁなどと思っているうちに事件が勃発。とたんに空気が一変し、役者の芝居も実際にこうなんじゃないか、というリアルなテイストに移行する。
つまり序盤の能天気ムードはあくまでこの落差を生むための戦略だったという。。おそるべし。
この他にも刑事が現場に立ち合うシーンで他の役者の声を聴かせつつ、画面はその刑事だけを映しつづけている場面など、とにかく演出の巧みさが印象に残りました。
創意工夫がヒッチコック
色々と映画を観て、そしてふとこうやってヒッチコックを観てみると、ヒッチコックという監督の独特さに改めて気づきますね。創意工夫を重ねた演出が、明らかに同時代の他の監督たちとは異なっているように思います。
ヒッチコック以前に殺人シーンを、この作品のように撮った監督はいたでしょうか。それほどにこの殺人シーンは印象的です。ヒッチコックがどのように見せれば、殺人シーンがより緊迫感を増すのか、必死に考えた末の演出を感じます。
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