「意外とアンバランス」美女と野獣(1991) ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
意外とアンバランス
名作と名高くファンも多い作品ですが、なかなか触れる機会がなく、ようやくTVで観ました。。
どうせ手堅いんでしょ、と思っていたら意外とアンバランスに感じたので驚きました。
アニメーションとしてはハイクオリティだと思うのですが、外しようもないはずの王道のラブストーリーが、肝心なところの描写はあっさり。逆に余計なところがこってり。だったのでちょっともったいないなと感じました。
美女と野獣が打ち解けるくだり、からのバラのタイムリミットが迫る中、愛を知って決意する野獣、という葛藤こそがこのストーリーのトロの部分、つまり肝心なところだと思うのですが、そこはスピーディにさっくり。
で、全体の尺といえば今では考えられない84分という短さ。
その貴重な尺を割いてまで余計なところ、主人公を歓迎して食器や調度品が歌い踊るドラッギーなシーンや、敵役のガストンが酒場で仲間たちと歌ったり踊ったりするシーン、などがやたらクドく、長々と繰り広げられる。
そこがアンバランスさのゆえんでは。
↓追記
ただ、百戦錬磨のディズニーがそれをわからないはずもなかろうから、文句を言う筋合いでもなく。
醒めた言い方をするなら、この頃の戦略としてはまだミュージカルらしいレビュー>大人も楽しめるドラマ、に置かれていたということでしょう。
このあとだんだん路線も変わって来るようですし。
今ならアニメーションで2時間超えもめずらしくはないですが、この当時としてはあり得なかったでしょう。
それでも90分くらいは許容範囲でしょうから(ハリウッド映画の平均尺は91分らしい)そのおつりの6分を使ってもう2人の関係性に厚みを持たせることでドラマ的にも納得感のあるものができたんではないかしら…というのが個人的もったいないポイント。
もっとも、実写版を観た友人が放った印象的な一言「ラスト、野獣が元に戻らなくても良かった」に象徴されるお話としての根本的な矛盾(心の美しさ>見てくれというテーマのはず)はそれでも解消されませんが。