「期待が高すぎた!」ピクニック at ハンギング・ロック iwamoogさんの映画レビュー(感想・評価)
期待が高すぎた!
失踪するまでの雰囲気が時代を超えて絶大なインパクトを持っているというのはわからなくもない。美学的な徹底は画面から伝わる。しかしながら、映画というのは美的なものだけでは成り立たないという症例のような作品。
そのあたりは当然、この後に一級監督に成長することになるピーターウィアーも理解しているので、美的なところは失踪するまでで終わり、残りは学校と街へのアフターエフェクトを描くことになる。
問題は後半のアフターエフェクトパートに出てくる人物たちが、一様に困惑というトーンで統一されてしまっているところではないか。
捜索する警官だったり失踪前を目撃している青年たちだったり、学校の先生だったり視点が色々切り替わるが、そのどれもがなんかよくわかんない…みたいなしかめっつら。視点が変わっても心理が同じなので、話が進まないと感じてしまう。
唯一能動的な行動を起こす人物として、再度友人を誘って捜索に赴く大尉の息子がいるが、前半の二番煎じのような緩いピークが訪れるに留まる。
事件後の彼らを切り取る映像は過不足なく、淡々と、ケレン味も少なく流していく。ただ無為な時間が過ぎていくだけに感じ、作品がどこに向かおうとしているのかわからない。あるいは、そんなじれったい時間自体を表現したかったのかもしれない。
いくつか超自然だったりショックと言えるような描写が出てくるのだが、そこがうまくいってないのが1番おおきいかも。
例えば唯一生還したアーマに不信感を抱いた女生徒達がアーマをどつき回すシーン。
ここは暴力的なシーンのだが、いかんせん演出が雑すぎて間抜けた感じになっている。
いきなり牙を剥く生徒達の心理が謎。むしろ滑稽にみえ、笑ってしまった。
結局は、1番の美として描かれるミランダ演ずるルイーズ・ランバートの顔で保っていると考えると身も蓋もない感じ。カルト映画化したのもミランダが出てくる前半があるからではないか。
失踪以降の後半はマジ退屈🥱
イグアナは出てくる。
個人的に爬虫類が出てくると間違いなく映画は面白くなると考えている。
しかしながらこの映画はダメだ。イグアナだけでなくコアラまで出てくるのに…
音楽は大仰なテーマの使い回しであんま。
シンセで精神がおかしくなります表現は2024年の今聞くと凡庸。
「ピクニックしてて狂気に入り込む」だったらロバート・ロッセンのリリスを見たほうがいいと思う。