引き裂かれたカーテンのレビュー・感想・評価
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元祖ジャック・ライアン?
カーテンというからサイコスリラーの名作「サイコ」の名シーンを連想して怖い映画かと思い込んでいたがジャック・ライアンもどきのスパイものだった。むしろ婚約者が巻き込まれる「エージェント:ライアン」の方が本作をインスパイアしたのだろう。
スパイものといっても主人公は学者だから派手なアクションは無い、と言うよりたった一人を始末するのに悪戦苦闘、リアルに人を殺すのがいかに大変なことかをつぶさに描写して見せる演出はさすがヒッチコックと感心した。
東西冷戦の最中、ミサイルの最高機密が頭の中の数式では蛇の道は蛇、学者エージェント登場の必然性をよく見つけました、感心したのは人物描写、それも女性の描き方、愛と信念の狭間で戸惑う主人公のフィアンセ、プライドを傷つけられ根にもつプリマドンナ、レジスタンスでも命がけの農婦や保健師の反面、錯乱するバスの女性など人それぞれ、奇妙な伯爵夫人などそのバリエーションの豊かさ、対比は素晴らしい。
「サウンド・オブ・ミュージック」の清楚なヒロインのイメージのジュリー・アンドリュースのいきなりのベッドシーンには当惑したが冒頭のラブラブ・シーンの役割は展開につれ氷解、主人公の真意は彼女も観客も知らないから一緒になって心が揺れる、設定だけで2時間を退屈させない脚本と演出、さすがヒッチコック監督作品と再認識した名作でした。
期待しなければ悪くないはず。
最初の30分は演出にキレがあって緊張感がでてて素晴らしいと思った。それから急に冴えない演出に成り下がり・・・アクションシーンは会社からの要請かなぁ・・・非常にブサイクな演出だった。
感情移入という意味では主人公は自分から飛び込んだリスクなのであまり助かってほしいという感情も湧いてこず・・・ってか配役が合ってないと思う。男はハンサムすぎ女は色気が無さ過ぎる・・・この配役は会社の要請じゃなかろうか・・・
しかし酷評されるほどひどくはない。ドイツからスウェーデンまで籠ってのは頂けないが、それ以外は悪い脚本でもない。会社の要請さえなければいい作品になっていたかも知れないと思った。
まあまあだった
ピュアな科学者のおじいちゃんを騙しているところに胸がいたんだ。
「火事だー」でそんなパニックなるか?と思ったし、駕籠に入れられて何日も過ごすのは無理だ。トイレや食事、体も痛くなってしまうだけでなく、エコノミー症候群になるのではないだろうか。
バレエのおばさんの顔が非常に味わい深かった。
タマラ・トゥマーノワ!!!
主演のポール・ニューマンが「出るんじゃなかった」と言い、
共演のジュリー・アンドリュースも「出るんじゃなかった」と言い、
脚本ブライアン・ムーアに至っては「僕の名前をクレジットしないでください」とヒッチコックに申し出た
『引き裂かれたカーテン』。
ヒッチコキアンの知人ですら「くそつまんね」と切り捨てた作品。
でもねえ、私は好きだあー。いやもう色々と面白いです。
ヒッチコックが自己模倣に走ってるのがちょっぴり淋しいけれど、それでも構わない。
そして私にとってこの作品の主役はタマラ・トゥマーノワなのであった。
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東ドイツの警官に追われているP.ニューマン。
バレエ公演中の劇場に逃げ込む。
舞台上のバレリーナはピルエット(回転)しながら客席を凝視している。
バレリーナは客席にいるP.ニューマンを発見!!!
(なんで!?廻ってるのに!客席暗いのに!)
そして舞台袖にひっこみ警察に通報するのであった…。
なんか、もういろいろと大変なことになっている映画である。
そして、そのバレリーナ役がタマラ。
廻っているタマラの顔が怖い。
凝視する眼が怖い。
怖すぎて、ちょっとコメディになってる。
(舞台を)見ていると思っていたら
(舞台から)見られていたという恐怖!
この映画、「視られている恐怖」を描いている。
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実はタマラ・トゥマーノワ、伝説のバレリーナなんである。
川端康成の「舞姫」にも名前が出てくる。
(川端は恐らくタマラのことは観たことなくて海外から伝わってきた話として書いている。)
11歳の天才少女と騒がれた彼女も、映画出演時は50歳手前。若い頃の写真はほんっとに美しいので、そのギャップに驚いた映画でもあった。
怖すぎのタマラであるが(そして現代の基準で言えば踊りも下手であるが)、タマラの動く姿を観れるのは貴重だと思う。
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ヒッチコックは映画に一番近いものとしてバレエをあげている。
その理由はどちらも視覚的だから。
確かにタマラは視覚的であった。
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ちなみにデマルマ監督「パッション」は本作に惜しみない愛を捧げている。
追跡者をいかに振り切るか
総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 80
演出: 80
ビジュアル: 65
音楽: 65
ヒッチコックのスパイもの。いかに逃亡するかとどうやって追跡を振り切るかという緊張感を楽しめる。
ニューマンは訓練を受けた本職のスパイではないので、婚約者について来られたり尾行に気づかなかったりとくだらないミスをしては自ら危機を招き入れる。しかしその反面、教授からうまく数式を聞き出したり包囲された劇場からうまく逃げたりと機転も利いている。
しかし気になったのは、劇場でニューマンが「火事だ」と叫ぶところ。彼はドイツ語が出来ないはずなのだが。叫んでいるのではっきりと聞き取れなかったのだが、ドイツ語で「Feuer」ではなく英語で「Fire」と言っているように思えるのだが、どうなのだろう。ドイツ語で叫ばなければ他の観客には聞き取れないしパニックを引き起こせないので意味がない。それに火事だの一言だけでこれほどみんなが即座に反応するかなとも思う。煙も炎もないのだから、火事だ危ないみんな死ぬぞ逃げろくらいは言わないと駄目なような。彼のこの機転のすごさには感心した一方で、そこらあたりがどうなのだろうか気になる。
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