引き裂かれたカーテンのレビュー・感想・評価
全25件中、21~25件目を表示
ヒッチコックらしくない作品
『メリー・ポピンズ』や『サウンド・オブ・ミュージック』などで知られるジュリー・アンドリュースとポール・ニューマンが共演していたのには驚きました。
しかし、全体的にリズムが悪かったです。緊張感があるシーンでも映像に迫力がなく、メリハリがない、ヒッチコックらしくない作品でした。
タマラ・トゥマーノワ!!!
主演のポール・ニューマンが「出るんじゃなかった」と言い、
共演のジュリー・アンドリュースも「出るんじゃなかった」と言い、
脚本ブライアン・ムーアに至っては「僕の名前をクレジットしないでください」とヒッチコックに申し出た
『引き裂かれたカーテン』。
ヒッチコキアンの知人ですら「くそつまんね」と切り捨てた作品。
でもねえ、私は好きだあー。いやもう色々と面白いです。
ヒッチコックが自己模倣に走ってるのがちょっぴり淋しいけれど、それでも構わない。
そして私にとってこの作品の主役はタマラ・トゥマーノワなのであった。
--
東ドイツの警官に追われているP.ニューマン。
バレエ公演中の劇場に逃げ込む。
舞台上のバレリーナはピルエット(回転)しながら客席を凝視している。
バレリーナは客席にいるP.ニューマンを発見!!!
(なんで!?廻ってるのに!客席暗いのに!)
そして舞台袖にひっこみ警察に通報するのであった…。
なんか、もういろいろと大変なことになっている映画である。
そして、そのバレリーナ役がタマラ。
廻っているタマラの顔が怖い。
凝視する眼が怖い。
怖すぎて、ちょっとコメディになってる。
(舞台を)見ていると思っていたら
(舞台から)見られていたという恐怖!
この映画、「視られている恐怖」を描いている。
--
実はタマラ・トゥマーノワ、伝説のバレリーナなんである。
川端康成の「舞姫」にも名前が出てくる。
(川端は恐らくタマラのことは観たことなくて海外から伝わってきた話として書いている。)
11歳の天才少女と騒がれた彼女も、映画出演時は50歳手前。若い頃の写真はほんっとに美しいので、そのギャップに驚いた映画でもあった。
怖すぎのタマラであるが(そして現代の基準で言えば踊りも下手であるが)、タマラの動く姿を観れるのは貴重だと思う。
--
ヒッチコックは映画に一番近いものとしてバレエをあげている。
その理由はどちらも視覚的だから。
確かにタマラは視覚的であった。
--
ちなみにデマルマ監督「パッション」は本作に惜しみない愛を捧げている。
追跡者をいかに振り切るか
総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 80
演出: 80
ビジュアル: 65
音楽: 65
ヒッチコックのスパイもの。いかに逃亡するかとどうやって追跡を振り切るかという緊張感を楽しめる。
ニューマンは訓練を受けた本職のスパイではないので、婚約者について来られたり尾行に気づかなかったりとくだらないミスをしては自ら危機を招き入れる。しかしその反面、教授からうまく数式を聞き出したり包囲された劇場からうまく逃げたりと機転も利いている。
しかし気になったのは、劇場でニューマンが「火事だ」と叫ぶところ。彼はドイツ語が出来ないはずなのだが。叫んでいるのではっきりと聞き取れなかったのだが、ドイツ語で「Feuer」ではなく英語で「Fire」と言っているように思えるのだが、どうなのだろう。ドイツ語で叫ばなければ他の観客には聞き取れないしパニックを引き起こせないので意味がない。それに火事だの一言だけでこれほどみんなが即座に反応するかなとも思う。煙も炎もないのだから、火事だ危ないみんな死ぬぞ逃げろくらいは言わないと駄目なような。彼のこの機転のすごさには感心した一方で、そこらあたりがどうなのだろうか気になる。
ヒッチコックの失敗作とされていますが、
ヒッチコックの失敗作とされていますが、
最後の方にチラッと登場する越境を熱望し、2人の脱出を手助けする面白いおばさんなど、登場シーンが少ないのに人物造型が見事である。
全25件中、21~25件目を表示