バンカー・パレス・ホテルのレビュー・感想・評価
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ロンリセイ(論理性)・・
普通の映画とはかけ離れた作家性の強い極端なSF映画、劇中でアンドロイドが理解できない言葉として”ロンリセイ(論理性)"を繰り返すシーンがありますがこれは監督の自虐ネタでしょう、この映画、論理的な状況説明は意識的に省かれ物語は観客の感性と創造力に委ねられます。
時代も場所も定かでなく、何やら革命のような内乱の最中、政府の高官たちが避難するのが地下深くのバンカー・パレス・ホテル、ホテルとは名ばかりで世間と隔絶された地味な密室空間、セキュリティの為に従業員は全員アンドロイドとこれまた風変り。
ホテルへのルートが古びた列車をしつらえて秘密めかしているものの反乱軍にはお見通しのようでした。
密室劇に登場するのは数人の政府高官、押しなべて妻とは思えぬ女性同伴とステレオタイプ、その中でもオルムと名乗る軍事産業の大物が異才を放っている、ホテルに入れてしまえばセキュリティのかけらもないから反乱軍が二人も紛れ込むが露骨な破壊行動をするわけでもなくダラダラした展開が続きます。まあ、興味の主体はオルムの正体、不可解な行動の謎は深まるばかり。
最後に大統領らしき人物が潜入した敵のクララに託した伝言も字幕スル―だから何をしゃべったか分からない。これって本当に意図的なのかしら?
想像するに、脚本・監督のエンキ・ビラルさんはユーゴ出身で社会主義崩壊の内乱を目の当たりにしてきているからか、世渡り上手の政治家や実業家は風見鶏の如く変わり身が早いということなのでしょうか。地上ではどうなっているのか、反乱を起こしているのは反政府軍なのか、はたまた、ターミネーターのようにアンドロイドたちなのか、それすらも明示されない。
このカルト的な作風はコアなマニアには受けるでしょうが私は苦手なので悪しからず・・。
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