「肩パットとニトリの家具と」春のソナタ kumiko21さんの映画レビュー(感想・評価)
肩パットとニトリの家具と
最近映画を三倍速で見る若者が多いことが気になっているけど(非難ではなく、社会・時代背景に伴う事実として興味深い)、ロメールの映画を見ているとつくづく三倍速に向かないよなあと思う。
例えば、パートナーが旅行中の部屋の汚れ方が許容範囲を超えている場合。片付け始めるけど、一人ぼっちで片付けたところで何が楽しい?、、、と早々に出て行くシーン。そこには独白もBGMも何もない。必要な秒数が割かれた映像のカットの積み重ねだけ。世紀をまたいで久々に見るシーン。変わらない、自分の中の乾いた部分に井戸水が沁みる感じというか。ところで、80ー90年代はパリのインテリ女性たちも、あんな風な肩パットの入った、体の線を拾わない白衣みたいなジャケットをまとっていたんだなあ。小気味好い小道具としての照明器具、そのディフージョン版が今ならニトリで5000以内で買えるなあ、と妙に感心した。
年は重ねたけど、音楽と哲学を堂々と語れる大人にはなれなかったな、自分。でもいいんだ、こういう映画を楽しめる環境に生きることに感謝。
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