「M47戦車がタイガー戦車を演じた大作」バルジ大作戦 傘さんの映画レビュー(感想・評価)
M47戦車がタイガー戦車を演じた大作
敗戦間近なドイツ軍がヨーロッパに於いて
最後に発動した反攻作戦「ラインの守り」が映画の題材となっています。
第二次世界大戦に現れた戦車の中でも最強であったタイガー戦車を先頭に米軍の前線を突破!
連合軍の物資陸揚げ港であったアントワープを再占領し
前線の米軍を行動不能に陥らせると言う空前絶後の電撃作戦でしたが
既にドイツには作戦に投じる物資も兵員も枯渇している状態で
無敵タイガー戦車に入れる燃料は米軍から奪う事を前提とした運頼み
また、タイガー戦車に搭乗する兵士は全て子供でした。
戦車隊の指揮官を要請され部下コンラッドと共に司令部へ来ていたヘスラー大佐は
司令官から紹介された戦車兵達を見て
作戦は絶対に成功しないと言い放ちます。
彼等では使い物にならないと
その時、1人の少年兵がパンツァーリート(戦車隊の歌)を歌い出します。
じきに戦車隊の兵士全員が歌い出し大合唱となり
(運命の敵弾が当たり武運尽きる時、我らが戦車は誇り高き墓となるだろう♪)
「歌え…歌うんだ!」
ヘスラーは絶望的な表情を見せるコンラッドに歌う事を命じ一緒に歌うのでした。
自分が指揮を断っても作戦は発動し彼等は死ぬ
ならば一緒に戦って死のうと言う悲壮な決意。
もう、この場面だけでも観る価値はあります。
戦争馬鹿とかなレビューもありますが
生粋の軍人であるヘスラーは若すぎる兵士達の軍人魂を見て
せめて米軍に一矢報いる事
彼等の死が無駄ではなかった事を優先してしまうのです。
対して市井の人であるコンラッドは作戦を中止してでも兵士達を生かしたいと考え
2人の間の溝は次第に深くなって行きます。
米軍は終始脇役でしかなく映画会社が
「ナチを格好良くしてどうする!?」
と、慌てた名作です。
また、タイガー戦車役を務めたM47戦車は驚きの演技を見せ
森から地響きを立てながら米軍陣地に大軍が現れる様は
もう観て下さいとしか言えません。
ナチが勝ってはダメなんですが結果を知っていても応援してしまう。
そんな映画です。