「パリを見て死ね」パリは燃えているか しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
パリを見て死ね
Blu-ray(HDリマスター版)で鑑賞(吹替)。
監督をルネ・クレマン、脚本をフランシス・フォード・コッポラが担い、キャスト陣にジャン=ポール・ベルモンド、アラン・ドロン、オーソン・ウェルズ、カーク・ダグラス、アンソニー・パーキンス、ジョージ・チャキリスなど、目も眩むような豪華俳優たちを揃えた戦争超大作である。
特定の主人公はいない。「パリ解放」と云う史実が主役と言ったところだろう。レジスタンス、ナチス、連合軍の3つの視点が入れ替わり立ち替わりして、物語を紡ぎ出していく。
アメリカとフランスの合作と云うことだが、全体的にフランス映画の雰囲気が濃厚だった。パリが舞台だから当然なのかもしれないが、戦争映画なのに妙にエスプリがきいている。
特にジャン=ポール・ベルモンドのシーンで顕著だった。政府施設を解放させた際のやり取りにクスりとさせられた。パリ解放のための戦闘シーンでも、ユーモアが感じられた。
連合軍の到着に浮かれるパリ市民。兵士たちも観光に来たみたいにはしゃいでいる。そんな雰囲気に水を差すように彼らが死ぬ。やはりこれは戦争なのだと目の覚める思いだった。
パリ市街で撮影された戦闘シーンの迫力がすごい。実際の記録映像を織り交ぜながらではあるが、全場面にすさまじいスケール感が伴っていて、本物ならではの迫力に圧倒された。
日本で第二次世界大戦の時代の戦争映画をつくるとその背景故に悲惨さが常につきまとうが、お国柄なのか、そこまで悲惨ではなく、どこか軽ささえ感じさせるのが興味深かった。
受話器から漏れるヒトラーの有名な言葉―「パリは燃えているか!?」で静かに締め、カラーで現在のパリの俯瞰映像を見せるエンド・クレジットへ。なかなか洒落た演出であった。