「二重三重の運命のすれ違い、喜劇王が放つシリアスドラマ」巴里の女性 sugar breadさんの映画レビュー(感想・評価)
二重三重の運命のすれ違い、喜劇王が放つシリアスドラマ
チャップリンの中長編で唯一見逃していたラストピースをようやく観ることができました。
内容的には結構ドロドロした男女の愛憎劇ですが、人の心奥の洞察も鋭く、マリー、ジャン、ジャンの母それぞれの人間的弱さを見事に捉えています。
極めつけは富豪ピエールの人物造形。貴族出身なのかブルジョワなのか、ガツガツせず余裕しゃくしゃくなのですが、女性蔑視や貧乏人への差別意識が透けて見えます。マリーがネックレスを取り戻すくだりの笑い方のいやらしさ。演じるアドルフ・マンジューの神レベルの演技が素晴らしすぎます!
そしてやはりラスト。もはや永遠に交わることないすれ違いのシーケンス。まさに芸術映画のラストシーンそのものです。
コメントする
