巴里祭のレビュー・感想・評価
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【巴里の下町で起きる恋物語を、丁寧に描いた作品。80年と言う時を越えて響く懐かしき趣の作品である。】
ー 革命記念日の前日、7月13日。 お祭り気分で活気にあふれるパリの町でタクシー運転手をするジャン(ジュルジュ・リゴー)は、向かいのアパルトメントに住む花売り娘のアンナ(アナベラ)と軽口を叩きあいながらも惹かれあっていた。 踊りにいく約束をした2人だったが・・- ◆感想 ・ジャンの前に現れた且つての恋人ポーラが惹き起こす事件により、ジャンとアンアの仲は終わったかに思えたが・・。 - アパルトメントに住む、おせっかいなおばさん達の会話が面白く・・。- ・日本には、パリを”巴里”と記載した時代があった。 金子光春と森美千代も、林芙美子も、深尾須磨子を始め、当時の文筆家や芸術家はその名前に惹かれて、渡欧した。 <ルネ・クレールの描く”巴里”とは、今作を観ても現代に生きる私が当地に行って感じた芸術の都ではなく、下町で生きる市井の人々の生活を描き出している。 それが、小津安二郎やチャップリンに与えた影響を感じさせる作品である。 今作が、それ以降の諸作品に与えた影響は多大なるモノである。> <2018年8月11日 祇園でしこたま呑んだ翌日に、京都シネマ”巨匠、ルネ・クレール監督生誕120周年記念”と謳った4Kデジタル・リマスター版にて鑑賞。> <2022年3月7日 別媒体にて再鑑賞>
パリの屋根の下で繰り広げられる軽やかな恋愛模様、夢にしずむような貴...
パリの屋根の下で繰り広げられる軽やかな恋愛模様、夢にしずむような貴重な体験から心踊る恋愛物語に意識が流れ自然と涙が溢れ出る展開、これぞ歌と恋の教科書であり最後までユーモアと幸せを届ける描写に頬が緩むルネクレールの世界観、出会えてとても幸せです。昔、日本の万博に監督が招待された時、淀川長治を含めた大勢でその夜、巴里の屋根の下を皆で大合唱した逸話を思い出しました。
クレールの粋な演出が堪能できるフランス映画の古典
大好きなルネ・クレール監督のトーキー初期の代表作。サイレントの名作「イタリア麦の帽子」1927年 と共に私的世界映画ベスト100作品には欠かせない、フランス映画の粋。ストーリーの面白さより、ささやかながら味のある演出を楽しむ古典的な映画作りの妙味。本国フランスでは、ヌーベルバーグ以前の映画人で敬愛されているのがルノアールとクレールのふたりだと聞いたことがあります。今日、このようなフランス映画のエスプリを味わえる映画は出来ないのでしょうね。リアリズムの表現法以外にも、映画の良さ、楽しみ方があった時代の遺産。
日本のクラシック映画のお手本はここにあったのかと思うようなオープニ...
日本のクラシック映画のお手本はここにあったのかと思うようなオープニングの歌声とタイトルバック。笑いあり涙あり。出演者も魅力的な巴里の香り溢れる素敵なラブストーリーだった。ラストも印象的。
人情の機微の描写の上手いこと!
学生時代以来、30年以上振りくらいに観た(^_^;) 最初に観たときは、その時までに観た映画の中ではベスト10に入ると感動したのだが、今観ると、こんな話だったのか!と、アナベルの麗しい笑顔しか覚えていなかった(笑) それくらい、主人公のアンナの魅力が映画全編に溢れていて、残念ながら、彼氏がいまいちw 特に、ショックを受けた後、子供にあたってしまうアンナが、すぐに後悔して子供を抱きしめながら、自分の哀しさを噛みしめるシーンとか、まさに、人情の機微を映し出して、ルネ・クレール、ホントに巧い! 意外とコメディタッチが強く、脇役も達者で、ある意味、チャップリンを思わせる味わい。 上映時間も90分以内と観やすく、おススメの一品。
感動です、胸一杯に余韻が広がります
原題は7月14日、つまり巴里祭の日です パリ祭の名前は日本だけだそうで、日本での配給会社が本作の邦題をこう名付けたものが日本で定着したそうです 成る程見事な邦題です 当時の人々のセンスに脱帽です その前日から物語は始まります お話は挿入歌の歌詞の通りです モーリス・ジョベールの有名すぎる名曲です パリのあちこちの街角で 毎日太陽は照りつける それぞれの運命の中で 恋の夢が花開かせる アンナとジャンの恋の物語に、パリの市井の人々の暮らしが様々に登場し物語を彩ります 時にコメディぽく、時にシリアスに パリの大空の下、90年近い昔のお話ながら、変わらず今もこれからも永遠の命のある物語が、今日もまた繰り広げられているのかも知れません フランス映画の金字塔だけでなく、映画史全体の金字塔だと思います Finの文字がでたとき、感動で快い涙がこぼれました
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