劇場公開日 1988年5月21日

「さすがのラウラ・アントネッリもモニカ・グェリトーレの若さには勝てないシビアさ…」薔薇の貴婦人 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5さすがのラウラ・アントネッリもモニカ・グェリトーレの若さには勝てないシビアさ…

2024年4月9日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

WOWOWの特集「イタリアのアモーレ ラウラ・アントネッリ」にて。

16世紀、ペストの流行が去った直後の祭りで賑わうヴェネツィアでの一日。
貴族階級の欲求不満未亡人と恋多き若妻という二人の貴婦人に同時に見初められた旅の青年が、一日に二人を相手にするという、ただそれだけの艶笑もの。

未亡人アンジェラをラウラ・アントネッリ、若妻ヴァレリアをモニカ・グェリトーレが演じ、お色気を競っている。

本作のイタリア本国公開は、「青い体験」の1973年から11年後の1984年。
40代のアントネッリは熟女の趣きで、16歳年下のグェリトーレは、やはり若く美しい。
この二人が直接対峙する場面がないのは、アントネッリに気を遣ってか…?

二人の貴婦人と旅の青年ジュールズ(ジェーソン・コネリー)のベッドシーンの他に、アンジェラが豊満な侍女ネナ(クリスティーナ・ノーシ)に男の代わりをせがむ場面や、その侍女が主人の色事を覗きながらジュールズを斡旋した船頭ベルナルド(クラウディオ・アメンドラ)と体を重ねる場面など、ソフトなお色気シーンが満載である。

最初、若妻ヴァレリアに一目惚れして胸を痛めていたジュールズが、ベルナルドの誘いで不本意なまま未亡人アンジェラの屋敷を訪れると一気に気移りしていまい濃厚な夜を過ごす。
アンジェラの相手をしたことを知ってジュールズを追い返したものの思い直したヴァレリアが、男装して彼を追いかけるのだが、この男装した姿が可愛い。
かくして、ジュールズはヴァレリアとも情事を貪り、満足感いっぱいでヴェネツィアを後にする。
夫に見つかって追われるようなサスペンスがあるわけでもなく、アンジェラとヴァレリアの取っ組み合いの喧嘩が起きるわけでもない。
緩〜い映画なのだ。

エンニオ・モリコーネの音楽もオープニング・テーマ以外は殆ど印象に残らない。

ヴァレリアの屋敷を出たジュールズが最後にもう一度アンジェラの邸の下に来て窓に石を投げる。たが、気づいたアンジェラは窓を開けて彼に顔を見せるのではなく、雨戸を閉める。これは、もう一度彼を見たら後に引けなくなる自分を制したのか、ヴァレリアの許に行ったことを知っていて敗北を認めたのか…アントネッリにとっては哀しげな結末だ。

kazz