バベットの晩餐会のレビュー・感想・評価
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金沢には「ヤッホー」しか言わない茶漬け屋がある
「ハレルヤ!」これしか言わないおじいさんが好きだ。何ともタイミングがよくて、周りの人たちにも意思の疎通が出来ている。ローレンス将軍の食べ方を参考にしているおばあさんも素敵だ。「食べ物の話をしちゃだめよ」と言いつつ、美味しい気持ちを隠しきれない。
食事で人を幸せにする映画の基本ですね、これ。日本ではコミックで大流行だったけど。。。最後にパパンともつながりが明らかになって、とっても心温まるストーリーになりました。見終わるととてもワインを飲みたくなる映画です。
湿ったような暗さにはどうにも慣れない。
一回目 2014.4.12。
宗教色が強すぎて、変に怖い。
ラスト、ロウソクの炎がプツンと消える・・わからない。
二回目 2020.8.7。
閉鎖的な孤島、食することでほんのひととき、凝り固まった宗教観から開放されたり、心が豊かになれた人々を描いた作品。
しかし、デンマーク作品の、湿ったような暗さにはどうにも慣れない。
何気にめちゃくちゃいい温泉映画
ときは19世紀、デンマークはユトランド半島の敬虔な教えを守る宗派の寒村でのお話し。作中で歌われる場面を除きほとんど音楽なし、たしか。
いろいろ含蓄がありそうですべてを理解できているとは到底思えないんだけど...
俗世間で栄達を手に入れた将軍の言動に気を揉みつつ、意地悪な期待もしてしまう。序盤の伏線がじんわり回収されていく...そんな晩餐会なのですが。
信仰上の理由で頭では料理のことを考えまいとするが、あまりの美味しさに箸、もといスプーンが止まらずいつになく冗舌になる村人たち。味覚と嗅覚、視覚を完全にやられたうえに、都会の食を知るゲストの蘊蓄で聴覚まで刺激されあえなく幸せな無条件降伏。村人たちの表情がすべてを物語る。
ほっこり芯から温まる温泉みたいな、そんな映画。
気の進まない職場の飲み会もメシ旨だったらアリだもんなぁ。
ストイックな戒律への皮肉も含んでるのかな。
バベットが根岸季衣似なのもなんか親近感持てた(笑)
静かな情熱
騙され上手の至福
未知なる料理への恐怖を、共に騙されるふりをすることで解消しようとした登場人物たちが、人間臭くて愛らしい。
現代は事実を暴くことが全てだ。
映画も含めた多くのメディアが、知る権利を盾にして、知られざる過去、知りたくもない理由、知る必然性のない経緯を、次々と白日の下に晒していく。現代のメディアは、それが面白みになって成立している。
この作品では、事実はほとんど明らかにならない。
唯一、バベットの出自が、それを知るべき姉妹だけに明かされるだけだ。
それなのに、誰もが忘れていた一つの真実が、明快に、映画史に残る大円団で描かれる。
信じる者は救われると言うが、真心から信じるふりをする者も救われるのだ。
二度と会うことのない人と、数十年、数百キロを隔てても繋がっていると、真心から信じようとする人たちが、ささやかな幸せを獲得する。
エンドロールが流れる中、すっと溜飲が下がる思いになった映画を観たのは、実に久しぶりだった。
長きにわたり、多くの支持者に語り継がれるのも納得である。
至福のおどき話
やはり名作はスクリーンで。
晩餐のシーンが取り上げられているけれど、私はあの姉妹の昔と今をとりまく状況、衣服(あのマントというのかな)、食材店の雰囲気とか、、、そういうものから当時の空気とか、「匂い」が感じられた気がする。
今回の上映がなければ、この作品を「名前だけは知っているが観たことはない」で終わっていたと思う。スクリーンで観ることができてよかった。クラシックな映画というのはたまに、でも定期的に観たくなります。
デンマーク×食事
我慢を強いる映画
北欧独特の光線が屋外のシーンを特徴的にする。その点でベルイマンの映画と共通している。
そして、また共通しているのがキリスト教の信仰を描いていること。
ただし、この作品にはベルイマンにあるような皮肉が見られず、ただひたすら純粋な信仰生活を送る姉妹が描かれるのだ。田舎の厚い信仰者の退屈な生活をひたすらに映し出すことが本作の仕掛けといってもよい。
タイトルにあるバベットなる人物は後半になってようやく登場し、その女性が作る晩餐の料理は映画の最後になってようやく映し出されるのだ。それまでは貧しい北欧の貧相な食事しか出てこない。
バベットがふるまう料理はどれも美味そうで、グルメ映画としても素晴らしい。ただし、この料理をつくる話が出てくるまでは、ひたすら敬虔な信仰心を持つ姉妹が男たちを袖にするというもので、見続けることに忍耐を要する。最後まで静かで禁欲的な生活の描写で引っ張っておいて、最後に極上のフランス料理を観客に見せつけるのだ。
とことんじらされた観客にとって、ここで供される品々は文字通り垂涎の的ととなる。
食事の場面が長すぎて飽きた
総合:55点 ( ストーリー:55点|キャスト:65点|演出:60点|ビジュアル:70点|音楽:60点 )
恐らく初めて観たデンマーク映画。前半のデンマークの寒村での質素な生活の場面はまだ悪くなかった。作品としては真面目で質感はむしろ良い。しかし後半、食材を用意し調理し食べるだけの場面に数十分も費やされると、単調すぎて流石に飽きが来る。
慎ましい人生を送ってきた彼らにもたらされる一流の晩餐がただの晩餐ではないのだろうが、些細な出来事を中心に据えた主題にひきつけられなかった。無論この晩餐は、その裏に潜む登場人物たちの数十年の半生を示唆しているのだが、それがはっきりとしないままに食事だけが進む展開が好きになれなかった。この映画はここに尽きる。むしろ将軍やバベットといった、劇中ではっきりと描かれなかった登場人物たちの人生のほうに興味をそそられた。
人生の喜び
バベットは芸術家だ。一世一代の「大盤振る舞い」は、芸術家としての、やむにやまれぬ彼女の衝動だ。献身ではないところが、渋くて粋でかっこいい。
バベットの料理の芸術を理解できるのは、社交界を知る将軍だけだ。
村人たちも、正しく受け止めてはいたが、言葉にすることはない。
芸術は、全ての人に等しい深さで享受されるものではなく、素養とか経験値を問われる残酷な一面がある。だか、圧倒的な本物を前にすると、誰もが感覚的な喜びを味わうことができる。
一方、恋の成就や夢の実現は叶わぬとも、置かれた場所でひたむきに花を咲かせようとする、姉妹の生き方もまた、芸術だと思った。
天使も微笑む生き方は、本格の芸術。人生の喜びを見た。
秀逸
心がじんわりと温かくなる映画です。
見終わったあと、心がじんわりと温かくなる、そんな映画でした。あんな風に年を取りたいと、思いました。
基本的には宗教にあまり関心のないワタシですが、この映画の姉妹のように心の糧となり、人との結びつきを色濃くしてくれるのならば、宗教も悪くはない、と思わせてくれました。
おいしいものは、心をこめて作った料理は、人を温かく、幸せにしてくれるのですね。
そして、後半のバベットの見事な料理の手際のよさ、に見惚れ、給仕をする地元の少年への見事な指示。
本格フランス料理など食べたことのないデンマークの漁村のお年寄りたちの最初は恐る恐る、だが料理のおいしさと見事さにどんどんと舌鼓を打ち食事を楽しむ風景。
美しかった牧師の娘姉妹が、なぜ結婚をしなかったのか、という伏線の張り方。
小編ではありますが、見事な作品だと思いました。
バベットの晩餐会
百点満点の藝術作品。これに並ぶ完璧な映画は歴史上数作しかない。嫌われたのはドンジョバンニ(お手をどうぞ:色事師の唄)なのに、オペラ座の天才歌手パパンが報いを受ける。あの深みのある可笑しさは類を見ない。キリスト教を越えた思想表現、料理を超える味わい、ワインを超える香り、それは映画の随所にちりばめられた製作チームの世界観と魔法の様な技術に支えられている。主義も主張も要らない。表層感情にも拘らない。デンマークだからこそ、ディーネセンほどの人物ゆえに捉えた大きな世界がある。価値観の変わる百年後でさえ、映画史のベスト10に残る完全主義の花開いた名作かと思う。
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