バベットの晩餐会のレビュー・感想・評価
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正義と至高が接吻する。ハレルヤ!
封切り当時に映画館で観たがその後長らくTV放映でも配信でも最後まで通して観ることが出来なかった。デンマークの寒村が舞台だし室内シーンが多いので小さい画面ではどうも暗くごちゃごちゃして見づらいことがあって。映画館で観るべき映画の一つ。
バベットは1871年にパリから村にやって来る。パリ・コミューンのあった年でナポレオン3世が失脚している。「皇后と共に追われた」っていうセリフがあるから有名なウーディニ皇后に可愛がられた料理人だったのでしょう。そこから14年経っているのだから1885年くらいの設定。ちなみに昨年公開の「ポトフ」もこれぐらいの時期設定になっている。
村はユトランドにある。コペンハーゲンの北西、北海に突き出した半島の村。ここに住む年配の姉妹が父から引き継いだルター派のコミューンを主宰している。
姉妹も信者たちも敬虔な宗教者で質素で禁欲的な生活をおくっている。バベットが特に抵抗なく受け入れられたのはデンマーク王国という国が比較的、開明的だったからだと思う。
ただこの両者のバランスはバベットが宝くじ当選金を原資にして晩餐会を催すことによって崩れる。映画の前半部分は事実関係の説明と背景の紹介に割かれているが、後半部分は大げさにいうと文明の衝突にあたる晩餐会が描かれる。
久しぶりに観て、記憶よりも晩餐会のメニューが簡素であるとは感じた。コストがかかるのはウミガメだの南洋の果物だの珍奇な食材をはるばる輸送したから。パリ仕込の腕は普通の食材を使ってでも表現できたのではないかとは思ったけど。
いずれにせよバベットの料理は出席者のこころを溶かし受け入れられるに至る。
制作者の言いたかったことは表題に記した将軍のセリフに凝縮されている。おそらくここでの正義は宗教を、至高は芸術を指している。
宗教にしても料理にしても他の芸術にしても全て人間が生み出し、守り、積み重ね、発展させてきたもの。全て等価でありお互いに尊重されるべき。それがヒューマニズムということではないかと感じた。ハレルヤ!
対比とシスターフッド
実力シェフの底力
最高のグルメムービー‼️
19世紀後半、デンマークの小さな漁村で伝道生活を送る姉妹がそれぞれ、青年将校とオペラ歌手と実らぬ恋をする‼️この姉妹を演じる女優さんがホント美しくて、しかも若かりし時代と、年齢を重ねた初老の時代のふたつが舞台になっているんですけれども、演じる女優さんがそっくりで同一人物を特殊メイクしてるのかなと思うほど‼️結局別の女優さんだったんですけれども‼️やがてフランス革命で家族を失った女性バベットが、オペラ歌手の紹介で姉妹の家に住みつく‼️歳月が流れ、家政婦として姉妹に仕えてきたバベットが宝クジで大金を手にし、姉妹はじめ村人たちや今は将軍に出世したかつての青年将校を招いて晩餐会を開く。将軍はかつてパリで味わった最高のメニューとそっくりなのでびっくり仰天するが、禁欲的な村人たちが徐々に口にしていく描写、そしてあまりの美味しさに一人ひとりの表情が微笑んでいく様がホント素晴らしい‼️バベットがフランス料理のフルコースを作る丹念な描写も圧巻で、最後にバベットがパリで有名な女料理長だったことを語る‼️善良な人々の素朴な人間性というか、ロマンチシズムの幸福な香りが全篇に漂っているホントに素敵な映画で、現在に至るまでの最高のグルメ映画だと思います‼️あと、この映画を観賞する際、一番注意しなきゃならないのは・・・ヨダレ・・・‼️
才能を生かせる場があるかどうかは真の問題ではないのかも
キリスト教色を除けば一昔前の道徳の教科書に乗っていそうな品のいいお話。ちょっと雰囲気は違いますが、O・ヘンリの「賢者の贈り物」を思い出しました。欲にまみれた現代に生きる我々としては、この非常に慎ましく生きる人達から静かにお説教をされている気分になります。ただし、あくまでも彼らがそういう生活を送っているというだけであって押し付けがましさはないので、不快感はありません。
デンマークの映画が全部そうなのかわかりませんが、かなり禁欲的なのが特徴ですね。恋におぼれるなどはもってのほかと言う感じで、これがフランスやイタリアの映画ならまずそちらが話のメインになりそうなところが、終始とても慎ましいやり取りのみの描写になっています。19世紀の話とはいえ、これだけプラトニックで奥ゆかしい恋のあり方が成り立つとは、キリスト教の教えの強制力はすごいと思います。
さて、話の本筋はタイトルにもある晩餐会ですが、小さな田舎の村だけにフランス料理のフルコースなどは見るのも初めてであって、まず使われる食材からして驚愕の目で見られます。バベットの主人である姉妹の一人が海亀の悪夢にうなされるシーンは、この映画の落ち着いた雰囲気には不似合いなホラー的演出が入っていてちょっと笑ってしまいました。
見ていて思ったのは、とにかくよく食べよく飲むこと。自分ならとても無理な量です。そこだけは禁欲的ではないですが、たくさんワインやシャンパンを飲んでも酔態をさらさないのは抑制が効いていると言えますね。それにしても、これから先まず口にすることのないであろう上等な料理や酒を味わってしまうと、普段の食事が味気なく感じられたりしないんだろうかと思ったりもするのですが、それこそ余計なお世話でしょうか。
(追記)
NHK-BSで放送されていたのでまた見てみましたが、初見の時より評価が上がりました。地味だけど品があり、じんわりと染みてくる浄化剤のような作品ですね。
何といっても晩餐のすべてが終わった後のバベットの表情がいい。久々に腕を振るう機会を全うした満足感と、恐らくはもう二度とその機会がないことへの寂しさの両方が溶け合ったなんとも言えない顔なんですね。
夜空の星が近くなってきた時の「心の糧」
俳優全員にアカデミー賞を贈ってほしい。人を見る映画
永遠の瞬間である、ある晩餐会
規律を守り質素に暮らしてきた老姉妹。ひょんな縁でフランス人の元シェフの女性を家政婦として雇うことになり、彼女はある日、自分持ちで晩餐会を開きフランス料理の腕を振るおうとする。
慎ましく、控えめに暮らす敬虔な生と、贅を尽くした世俗的な暮らしや華やかな場所を生きる生が対比されているように感じる。そしてそれでも行き着くところは、大差なく、華やかな場所でも虚しさと孤独からは逃れられない。
食を堪能し美食に慣れている人も、美食に慄き罪の意識から口をつぐもうとする村人も、ワインの、そして料理の悦楽から少しずつ心をほぐされていく、平等に。
この映画から強く印象を受けたのは、永遠の瞬間がそれぞれにあるのだということ。幸福の絶頂がけして持続的なものでなくとも、人を満たすのに十分な瞬間を味わっているのなら、それは永遠になりうる。バベットの晩餐会は姉妹や村人、将軍、そしてバベット自身にとっても永遠の瞬間であり、それとは別に将軍にもオペラ歌手にも姉妹にもそれぞれの永遠も瞬間があったはず。
人は想い出を抱いて死ぬ、近頃よくこの言葉を思い出す。
祝福された気持ちになる
美味しい食事は欲望の塊なのではなく、もちろん単なるエネルギー源でもない
バベットがいかにも善人顔というわけではないので、最後まで結末がわからなかった
天に召される前に
とても美しい映画
地味なトーンだが清らかな内容
12人分のフルコースの値段
NHK BSプレミアムの放送で。出だし2〜3分を見逃した。でも、お話そのものはシンプルなので、理解できた。
牧師の娘2人が、清らかすぎて怖い。いくら田舎とはいえ、こんなにも慎ましく禁欲的でいられるのだろうか。いやいや、自分と比べるのがいかん。私なんて汚れちまってるよ。
そんな姉妹のもとにやって来た、フランス人女性バベット。実は料理人で、姉妹の開く晩餐会のために、宝くじの当選金1万フランを使って、自らフランス料理を提供すると申し出る。
海亀のスープ、ウズラのパイ包み、ワイン、デザート。他にもあったかな。ワインはけっこういいものっぽい。1万フランを12人で割ると、1人833フラン。日本円で15,000円ほどか? もっとか? なかなかいいお値段。
おいしいものを食べれば、機嫌が良くなるので、今までいがみ合ってた村人たちが、仲直りする。人間って単純(笑)
バベットって、マネの「フォリー・ベルジェールのバー」の女性を彷彿させる。そっくりではないけど、雰囲気が似てると思う。
自分に誇りを持ちたい人に捧げられた映画
「何を食べさせられるのか、わからないのです」
14年も奉仕してきた人が作る料理を、魔女の料理とな(笑)。
でも、材料を見ると、見慣れないものばかり。仕方ないか(笑)。
そして、晩餐会が始まると…。
宗教を超えた普遍的な物語。
さりげなく革命を絡めて、栄枯盛衰・諸行無常を語る。その中で残るもの。
心が満たされると、過去の思い出が、今に、未来に繋がり、全てのものに感謝の想いが拡がっていく。
豊かさって、物でも、栄光でもないんだなあとしみじみ。
「貧しい芸術家はいません」
「常にお客様を喜ばせてきました。力の限りを尽くして」
最高の場を自分で作りだしたバベット。どんな境遇になっても失われない、自身への誇り。人の満ち足りた顔を見ることが目的で、称賛を求めているわけではない。
自身への栄誉ではなく、人への奉仕に尽くした姉妹へのご褒美ろなる展開。
観ているだけでも幸せになってくる。
そして、生き方を考えさせられる。
静かなる名品。
美味しい映画
フランス革命でなにもかも失った天才女性シェフ、バベットが
質素で敬虔なる 神とともに生きる村の老姉妹と
縁あって家政婦として暮らします
バベットはなにも語らず変わらぬ暮らしは15年以上も経ち
村人たちも歳を重ねたある日
買い続けていた宝くじで1万フランを当てるバベット
その1万フランすべてを使って最高の食材、最高のワインを仕入れ
眠っていたそのシェフとしての腕前をふるう・・・
最高のフランス料理でもてなす一世一代の恩返し
贅沢とは無縁で生きてきたつつましやかな老人達は戸惑いながらも
ひとときの至福を味わう晩餐会
アペリティフのアモンティリャード
ヴーヴ・グリコの1860年物
クロ・ヴージョの1845年物
ウミガメのスープ
メインは「ウズラとフォアグラのパイ詰め石棺風」
葡萄や無花果などのフルーツ
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