「抑制のきいた珠玉の名品」バベットの晩餐会 pekeさんの映画レビュー(感想・評価)
抑制のきいた珠玉の名品
「午前十時の映画祭」で鑑賞。
いや、これはなかなかの名作ですね。
前半は話がどこに向かおうとしているのかわからずに少し気をもんだりもしましたが、バベットが宝くじに当たったところから物語に動きがでて面白くなってきた。
といっても、派手な面白さはない。とても抑制の効いた演出ですが、そこがかえって好感が持てます。地味だけど、素敵な作品に仕上がっている。
人生においても、また何かをつくる上においても、抑制が大切だということを教えられたような気がしました。
質素な禁欲生活を守ってきた村人たち。そこに晩餐会の豪華な料理がふる舞われ、彼ら・彼女たちはこころを乱される。
本音(にんげんの生き生きとした感情)と建前(「かくあるべし」という信仰心)の対比がユーモラスに表現されている。
北欧の寒々とした村の描写がつづきますが、終盤は見ているこちらもいくらか体温が上がったような、ほっこりとした気持ちに。
まるで僕も晩餐会に参加しているようでした。
正直いうと、あまり期待していなかったのですが(期待していなかったのがよかったのかな?)、とても素晴らしい作品に巡りあえて満足です。
給仕役の少年もいい仕事してたね。
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