「信仰と現実の狭間で・・」バベットの晩餐会 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
信仰と現実の狭間で・・
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娘に自由恋愛すら許さなかった父親の牧師、おそらく福音ルーテル派なのだろう、自身は妻帯しているのに酷い父親もあったものだ。まあ、宗教には戒めはつきもの、とは言え信心深い反面本能には逆らえないところもあるのが人間でしょう。
干し鱈と堅いパンのおかゆが常食のデンマークの寒村でパリの元皇帝料理人が腕を振るったフランス料理のフルコースと高級酒の宴、そりゃー教義はともかく笑顔で完食は頷けます。
映画では生きたウミガメやうずらの雛を見せつけて火で焼かれる悪夢まで被せるのだから意地が悪い。もっとも散々見せられた信仰心へのアンチテーゼ、人間とは?との問いかけなのでしょう。
子供の頃に読んだ「フランクリン自伝」を思い出した。ベジタリアンだったフランクリン坊や、船が漂流して食べるものは船員が釣ったお魚だけ、大きな魚をさばくとお腹から小魚が出てきたのを見て、それなら僕がこのお魚を食べても良いだろうと空腹をしのいだエピソード。人間、窮すれば背に腹は代えられないのも一面の真理でしょう。それでも程度問題、満漢全席じゃないが熊の手や猿の脳みそまで有難がる気にはなれません。まあ、折角のごちそうの映画に水を注すのも本意ではないのでこの辺で・・。渋くて深い映画でした。
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