バベットの晩餐会のレビュー・感想・評価
全68件中、1~20件目を表示
クロ・ヴ―ジョを飲んでみたい
・将校ローレンスにどこか惹かれながらも、厳しい戒律を守って教会の務めに精進する姉マーティーネ。 ・オペラ歌手のパパンに歌の才能を認められながらも、姉とともに人々に奉仕する道を選んだ妹フィリパ。 ・パリの最高級レストランの女性料理長の腕前を持ちながらも、革命のためにすべてを失い寒村のこの教会で家政婦として慎ましい食事をつくり続けるバベット。 ・恋を忘れるため、軍務に励み、出世を果たすと誓い、自分を律して将軍になるも老いたローレンス。 ・姉妹とともに厳しい戒律を守って生きてきた村人たち。。。 宗教や革命や土地や規範に縛られた人たち。 これらの人たちがバベットの晩餐会の前と後で、大きく何か変わったわけではない。 でも明らかに晩餐会前とは「何か」が変わっている。 それを言語化できないもどかしさ。。 と思ったら、どなたかのレビューに最高の表現が。失礼して引用させていただく。 「これまでの人生を悔いることもなく、魂の高潔を守ったまま、バベットが供する極上のフレンチに今を生きる喜びを感じ、心をほぐしていきます。」 それにしても招待客からバベットにもっと賛辞をあげてほしかった!(笑 将軍が一人絶賛していたけど厨房にいるバベットに届いてる?「シェフを呼んでくれ。」と将軍にバベットを呼びだしてほしかったよ。(笑) しかしバベット、へとへとに疲れ切ってたなあ。力出し切った感じ。今にもタバコ吸いそうな感じやった。 途中まで姉妹中心のエピソード、バベットは30分過ぎた頃にようやく登場という構成。「一体誰の映画なんだ?」と焦点のもっていきかたに戸惑ったが、観終わってみると単にバベットが主役の映画という単純なものじゃあないんだよね。姉妹やバベット、将軍、村の人たち皆なのだろう。 いいワインやシャンパンが飲みたくなる。良い食材を使った料理も。 しかし食後のコーヒーの後にさらにコニャックをのむのね。 「人生におけるこういう教訓を伝えたいのだ」というハッキリしたものは見せてこない。 ひょっとしたらそんな意図さえないのかもしれない。 ただグッとくるセリフはたくさんあった。ほとんど将軍のセリフ。 ・「人生の辛い選択などに、実は意味はない」 ・「我々には我々が選んだものが授けられております。しかしまたそれと同時に、我々が選ぼうとしなかったものも、我々には与えられているのです。」 ・「常にあなたが心の中にいました。これからも毎日、あなたと共に生きます。それもご存じですね。」 最後のセリフなんて、キュンとくる。純愛だ。。 かっこいいぞローレンス将軍。 ※「画質というか色味がお洒落」と高校生の娘が。なるほどー。
食事、料理。神との関係。
寄り添って暮らす寒村の素朴な人々…その心の支えに宗教というものがあった。…と、それはいいのだが、映し出される映像の雰囲気で、わたしには、現実離れした自己満足的世界に思え、なによりとにかく圧迫感とか閉塞感を感じ、苦手意識が沸いてくるのを感じていた。それが前半だった。 しかし、後半に≪料理≫が登場してきたことでテーマが動いてきた。 大変面白かったのは、パリの超豪華料理が、全く縁がないはずの人々…その料理が何であるかも理解できない人々の口に入る、という運びだった。しかも彼らは、それを食べたいと思っていないばかりか、恐怖感まで抱いている…。奇想天外の話だ。ふつうあり得ない。 しかし考えてみれば…料理は、人間の基本的営みであり、天からの恵みを有り難くいただく、ということだろう。だとすれば、この出来事は、神の最も豊かな恵みが、それを受けるのに最もふさわしい人(最も敬虔で神に感謝できる人)にもたらされただけだ、という説得力を持つ。そしてバベッドは神の恵みを、最もふさわしい形にして人々に伝える仕事をした。信仰のうえでは芸術家の仕事とはそういうものなのだろう。 ならば、ひとびとからバベッドへお礼の言葉がなかったこともわかるような気がする。メンバーはこの晩餐で宗教的な幸福感を得たが、感謝する相手は神だった。バベッドもまた、たぶん信仰心をもって、芸術家としてやるべきことをやっただけだった。ひとりひとりが神と繋がっていた。 このように考えてみれば、美しく洒落た話だった。ゴシック小説の独特さ?はやはりちょっと苦手だが、どこかユーモアさえも感じさせて明るく、心を洗ってくれる映画だった。
昔々あるところに・・
19世紀デンマーク、海辺の寒村。初老の姉妹の下で働く下働きの女性の料理がもたらす小さな奇跡のお話。 特別な意味があるとは思えない小さな出来事の積み重ねが、やがて絶妙の隠し味として効いて来るこれこそ一流料理人の様なフィルムさばきです。でもこれは高級レストランの御馳走ではなくじっくり煮込んだ郷土料理の優しさだな。小さな火の囲炉裏端で「昔々あるところに・・」と言うおばあちゃんのお伽噺を聴いている様な穏やかな思いになれました。また、どこか釘が一本抜けた様な妙な可笑しみも北欧映画テイストです。これは絶品。
グルメ映画なのに💦
残念ながら料理が美味しそうに見えませんでした。
観た時のわたしの反応は、村の人そのまんまです。
だからこそよっぽど美味しかったんでしょうね。村の人たちの表情!
人間ドラマが食事とともに、本当に豊かに描かれます。
それでも言う。わたしはあのお料理食べたくありません!貧乏舌でごめんなさい。苦笑
芸術と可笑しみが交錯する映画
デンマークの海辺に近い片田舎の村で 信仰に人生を捧げた父の活動を手伝うため 同じように人生を捧げた老姉妹がいた。 ある日、その老姉妹の若き日に、多少縁のあった パリの高名なオペラ歌手からの 「この人を匿って(かくまって)欲しい」という手紙を携えた 1人の女性料理人がやってくる。 この女性こそ、フランス革命後の市民による 混乱の時代に夫と子どもを殺害された パリの一流レストランのシェフ、バベットだった。 それまで、片田舎の寂れた貧しい村で、 さらに貧しい人々を助けるために 老姉妹が干し魚の煮込み料理などを提供していたのだが、 それが、いかにも不味そうで(笑) バベットが来てから作った料理がどれほど美味しかったか! 言葉にしなくても村人の表情でわかり過ぎる程分かる。 楽しいグルメ映画として観ても良し、 芸術家としてのバベットの深い心理を追うも良し ぜひご覧あれ!! で、月に8回程、映画館で映画を観る 中途半端な映画好きとしては 映画の前半は老姉妹の若き日の出来事が丁寧に描写されて それゆえに、後半のシーンが生きてくる。 一見地味なエピソードの積み重ねに思えますが クスクスと笑える小ネタもあり、なかなかに楽しい。 ラスト近くから 父の信仰のために人生を捧げた老姉妹への慰めと 真の芸術の力が生み出す至福の時間に癒される村人と 誰のためでもなく、バベット自身の 「芸術家」にとっての切望が交錯する。 ジワ〜〜っと泣けたわ〜〜。 安易なレビューだけでは語り尽くせません。 本当に良い映画でした。
宝くじ
友人に勧められて
午前10時の映画祭で運良く映画館で観れた!
結論めっちゃ良かった!
上質な映画とはこの事だなという感想☺️
とある村に二人の姉妹
カトリックの神父の娘で
めちゃくちゃ美人
優しく品がある
それは歳をとっても変わらない
若い頃に出会った二人の男性の絡みから
晩年の絡みに繋がりそこも良かった
夫、子供を殺され国から逃げてきたバベットの賢さや強さ
なぜか料理が美味い
なぜなら高級フレンチのシェフ👩🏻🍳
神父の生誕100周年の機会に、フランス料理を振る舞う。当たった1万フランの宝くじのお金で、高級フランス料理の具材を村に持ち込み、そんな具材を見た事ない姉妹の一人が疑心暗鬼になる
村の人達に相談して料理については反応しないで食べようと約束する
若き日の青年が将軍になり、晩餐を共にする設定がとても良い
良い物を食べている将軍はその価値がわかり、村の人は恐らく初めて食べる料理だったはず、皆で約束した通り美味しいと言えない状況がとても面白かった
若き日の将軍と姉妹一人の肉体を超えた心が通じ合っているシーンは出来過ぎだが、ほろり
バベットはフランスに行ってしまうと思っていた姉妹がバベットがここに居てくれるとわかるシーンにうるうる
まんまとこの映画に魅力されました☺️
映画館で観れて良かった!
つつましく美しい作品
TOHOシネマズの企画の 『午前十時の映画祭』でリバイバル上映されました。 1989年に日本公開された映画です。 以前から、「この映画、いいよ」と教えてもらっていましたが、 アマプラやDVDなどで観る時間もなく (映画館に行く時間はなんとしてでも捻出するのに💦) できたら映画館のスクリーンで観たい、とずっと思っていました。 題名だけ見ると 豪華絢爛な宮廷料理人か何かの話?と思いますが、 舞台はデンマークの海辺の小さな村。 村の牧師であった父親の教えを守り、 つつましく暮らすふたりの姉妹の元に、 フランス革命で家族も仕事も奪われた女性、バベットが身を寄せることになります。 そこから、姉妹の日常が少しずつ変わって行き… この映画を観に行こうと思った理由は、 もちろん勧められたからなのですが、 もうひとつ大きな理由が。 それは、 デンマークを代表する女流作家、アイザック・ディネーセン(英語表記名)の作品が原作だと知ったから。 私の好きな映画のベストワンはゴッドファザーシリーズなのですが、 2位は「愛と哀しみの果て」。 それは、ディネーセンの自伝的小説の映画化なのです。 映画の中のその主人公、つまり彼女の生き方に何度励まされたことか。 だから、原作が彼女の小説であることを知って、これはもう絶対に観に行かねば!と思ったのでした。
美味しい料理は人を幸せにする。そのまんまの映画だ。
日本公開時に観ているから、30数年ぶりの映画鑑賞になる。最近、同じフランス料理を扱った「ポトフ」をみたが、出来が違う。ポトフは大半が料理を作るシーンの連続で、人間のドラマ部分が少なく退屈な映画だった。 この映画は宝くじに当ってから俄然面白くなる。それまでの姉妹の恋愛が父の布教活動の妨げとなり、諦めることが後半のドラマに効いてくる。それまでの我慢だ。あとはタイトルの通りだ。この映画の素晴らしさを味わって下さい。
抑制のきいた珠玉の名品
「午前十時の映画祭」で鑑賞。 いや、これはなかなかの名作ですね。 前半は話がどこに向かおうとしているのかわからずに少し気をもんだりもしましたが、バベットが宝くじに当たったところから物語に動きがでて面白くなってきた。 といっても、派手な面白さはない。とても抑制の効いた演出ですが、そこがかえって好感が持てます。地味だけど、素敵な作品に仕上がっている。 人生においても、また何かをつくる上においても、抑制が大切だということを教えられたような気がしました。 質素な禁欲生活を守ってきた村人たち。そこに晩餐会の豪華な料理がふる舞われ、彼ら・彼女たちはこころを乱される。 本音(にんげんの生き生きとした感情)と建前(「かくあるべし」という信仰心)の対比がユーモラスに表現されている。 北欧の寒々とした村の描写がつづきますが、終盤は見ているこちらもいくらか体温が上がったような、ほっこりとした気持ちに。 まるで僕も晩餐会に参加しているようでした。 正直いうと、あまり期待していなかったのですが(期待していなかったのがよかったのかな?)、とても素晴らしい作品に巡りあえて満足です。 給仕役の少年もいい仕事してたね。
ただの料理の映画なのに涙が出る
料理は人を幸せにする。 映画も人を幸せにする。 至福の映画。特に後半は幸せな気持ちになった。 これがまた、終わるのが絶妙の時間。贅沢をしてフレンチを食べに行きたい気分です。 午前「10時」の映画祭に感謝! 追記 奮発してランチ行きました! お腹いっぱいです。
ハレルーヤ
バベットがきてからお金に余裕ができたって、食いもんにケチつけて値切ってるシーンが2つあっただけでいきなり14年が経ちましたって言われても。 いかにババア姉妹に献身的で、ジジイババアたちにもかけがえのない存在になってたかという描写がなかったから、ただ魔女が作ったおいしくなさそうな食べ物を敬虔そうに見えて実は罪深いジジイとババアたちがおいしくなさそうに食べ続けるホラーのように思えた。音楽もホラーぽかったし。 すみません。異教徒の感想です。
無宗教も
いいとこの自分ですが、何かを畏敬して暮らすのは悪くないと思う。時に打ちのめされても、人が作った食や酒で癒やされるのがまたいい、「パーフェクトデイズ」の平山の生活も一種のそれ。 もっと言えばここに集う人々も、信者なのかも。たとえその教典が「エクスペンダブルズ」だったとしても。
静謐で淡々としているのにクスリと笑える
おじいちゃんおばあちゃんかわいい(語彙力の喪失) 姉妹に言い寄る男二人ちょいキモいけど二人の考える理想的な愛し方してるのかも。 将軍はほんと晩餐会に来てくれて良かったな。君と御者さんが居なきゃ静かすぎるし料理の良さが真っ直ぐ伝わらないとこよね。良い案配に配置されていたと思います。 あとおじいちゃんおばあちゃんがかわいい
あっっ良いな〜〜〜〜〜コレってなる
「かくかくしかじか事情と縁があって雇った家政婦が将軍を唸らせる最強腕前シェフでした。」
クライマックスに晩餐会を開くシーンに至るまで様々な視点の群衆劇が描かれて、最後の晩餐会になるときには物語がキレー〜ーい一つに纏まる物語の運びがとても美しい。
見終わった後には「あ〜〜よかったな〜」とため息が思わず出てしまった。ずっと記憶に残る映画になりました
沸々と幸福感
全ての出来事が、素晴らしい食事に集約していく様は秀逸。 しかも 食事の際に会話はせず、亡き牧師とこれまでの歩みのみ話すようにさしむけられた構成により、隣人愛や人生の素晴らしさが中心に据えられ、豪華な食事はそれをそっと補助する位置に留められているのがにくい演出。 本人達はどれだけ高級か分かっていないところもよい。 さすが午前10時の映画祭選出でした。
【”美食の恩返し。”美味しい料理は、人の若干なる疑いを晴らし食した人々に幸福を齎す。この作品が後年の映画に与えた影響は大きのではないかな、と思った作品でもある。】
■19世紀後半、デンマークの海辺の村。 牧師の父を持つ初老の姉妹、のもとに、フランスのパリ・コミューンにより家族を亡くした女性バベットが移り住む。 やがて宝くじで1万フランを得たバベットは、その金で村人が集まる晩餐会用のフランス料理を作らせてほしいと姉妹に申し出る。 ◆感想 ・今作は、私の好きな出演陣が皆善性を保っている所が好きである。 ・マーティーネとフィリパの元に現れたパリ・コミューンにより家族を亡くした女性バベットを、彼女達が逡巡しつつ受け入れる姿。 ・その後、十数年が経ち、バベットが掛けていた宝くじが当たるシーン。ナント1万フランである。 ー 当然、彼女はそのお金で新たなる生活を切り開くと思いきや、その全額を掛けて彼女が世話になったデンマークの人達に料理を供するのである。今作でも描かれているように彼女は且つて、仏蘭西の名店のスーシェフであったのである。ー ■彼女は1万フランを投げ打って、高名なワインの数々、黒トリュフ、鶉を惜しげもなく買い、見事な料理を作り上げ、お世話になったデンマークの海辺の村の民に供するのである。 <今作は、近年仏蘭西映画で時折描かれる(代表は「デリシュ!」かな。)の先見的な作品であると思う。 食が、人と人を結びつける過程を、描いた作品である。 佳き作品であると思うし、この作品が後年の映画に与えた影響は大きのではないかな、と思った作品でもある。 鑑賞後の爽やかな印章も忘れ難き作品である。>
ある程度のキリスト教の文化がないと理解に詰まるか…
今年16本目(合計1,108本目/今月(2024年1月度)16本目)。 リバイバル上映なのか上映されていたので見に行ってきました。 言語がわりと謎ですがデンマーク語なのでしょうか?(いわゆるリバイバル上映の類はパンフレットの類が存在しない) 多くの方が書かれている通り、この時代…というか現代でもいいですが…キリスト教に関する文化がないとわからないセリフは多いし、そこから発展する食事の話題もわかりにくい部分はそこそこあります(宝くじのことはある程度わかるが)。 特にセリフに関する部分でキリスト教の聖書の一句やいわゆる名言を引用するところがあり、ここまでくるともう当事者ではないと理解できないのでは…と思います。 ここ最近の映画であえて同じ趣旨をあげるとすれば「ポトフ」がまぁ比較的近いといえば近いですが、「あえて近いものをあげれば」程度です。また、本国では子供向け…とはいわないにせよ、16~18歳くらいの子に見せることを想定しているのか、かなり「道徳の教科書ならぬ道徳の映画」的な部分が多々見られます(意図したものかどうかは不明)。 ただいずれにしても、当時のキリスト教文化の事情や食事事情、宝くじに関すること(描かれている通り、現在の各国とは法律等は異なっても発行はされていた模様)など「少し前の文化」に興味があればおすすめといったところです。 採点上特に気になる点までないのでフルスコアで切り上げにしています。
全68件中、1~20件目を表示