バニシング・ポイントのレビュー・感想・評価
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1960年代の消失点はアポロ11号
57年のケルアック著「路上」から芽生えた萌芽が、69年7月全世界が空を見上げ60年代の悲喜交々がまるで幻想だったと思わせるほどの衝撃だったアポロ11号に結実する60年代。
71年の当作品は、そんな壮大なマジックにかからなかった人々が、再び「路上」に立ち返り、ヒッチハイク的な速度ではなく、圧倒的なパワーとスピードで駆け抜ける。アクセルの踏み込みには、熱狂の後の空虚感や寂凉感が感じられる。
私の特別な作品
私の忘れられられない作品の中の1本で、最初に観たのは1971年11月2日、尼崎OS劇場(名画館)で『さらば荒野』と2本立てでの鑑賞と記録しています。
1971年というのは私が高校1年生の時で、本格的に映画が好きになり自分の小遣いで映画を観始め、その年には合計13本の洋画を観ていました。
その全てが私の心に刻まれていますが、その中でも本作は特に強烈な印象で残っています。そして、本作で“アメリカンニューシネマ”という言葉を知りました。
で、本作はその後テレビで放送されたと思いますが、(近郊の)劇場でリバイバル上映された記憶が無く、今回劇場で鑑賞するのは約52年ぶりという事になりますが、ほぼ記憶のままで覚えていました。で、今見ても痺れましたし、なんか懐かし過ぎて涙が出そうになりましたよ。
当時16歳の私が何故こんなにも映画が好きになったのか?、の理由も今回観てハッキリと理解出来ました。
私は団塊世代の次の三無主義と呼ばれた世代で学生運動などまるで興味もなかった人間ですが、何故かアメリカンニューシネマの精神には強くシンパシーを感じていました。
日本の風景には無い地平線の果てまで続く1本道を、自分を貫く為だけに疾走するコワルスキーがとてつもなくカッコ良く見えたのでしょうね。
今はこの作品に再会できた喜びの余韻に暫し浸らせて下さい。
アメリカンニューシネマ、ね。
世の中に納得できずに社会に反抗。ニューシネマらしい内容。激突のスピルバーグが傑作って言っていた話をどこかでみて一度見てみたいと思っていたけど大画面で初見となった。話の根底はきちんとあるが全編いちだいのクルマを警察がただただ追っかけるだけの展開。が、軽快なBGMに乗ってたっぷり魅せられた。みて良かったー。
ただ賭けのためだけに走ってる訳じゃない!
1971年公開のアメリカン・ニューシネマがデジタルリマスター版4Kで蘇ったとのこと。
興味ある映画だったので早速観てきましたが、見に行った映画館では2K上映とのことで、なんでやねん!とツッコミ入れときます。
映画の方ですが陸送の仕事をするコワルスキーが白い70年型ダッジ・チャレンジャーに乗って賭けのためデンバーからサンフランシスコを目指しひたすら爆走するというストーリーで、当然パトカーからも追跡を受けるはめになるという極めてわかりやすい映画です。
疾走する最中、警察の調査によって少しずつコワルスキーの過去が明らかにされていくのがうまい手法。ちなみにコワルスキー演じるのはバリー・ニューマンという俳優でなかなか格好いい。
麻薬飲んで運転するくらいなので、もっと悪い奴なのかと思いきや、事故ったパトカー警官や運転を競った相手の安否を気にする優しい一面を持っていることもわかる。
砂漠で助け合うじいさんとの交流もいい。
エンストして困ってたゲイにも救いの手を差し伸べたりもする。
途中で挿入される恋人とのシーン、そして恋人が海で死んだこと。
ベトナム戦争に従軍し負傷しながらも功績をあげたこと。
上司の警官が女性に乱暴しようとするのを止めるなど元々優秀な警官であったこと。
一年間カーレーサーをしていたこと、などがわかってくると、いつの間にか彼の激走が自由の象徴のように思えてくるから不思議だ。
彼を助ける仲間も現れる。ヌードでバイクに乗る娘もいかしてるね〜。
盲目の黒人のDJにとってもいつしかコワルスキーが希望の象徴のような存在になってくる。
そしてコワルスキーの過去が全て明らかになったとき、彼は単に賭けのためだけに爆走しているのではないことが観客に伝わってくる。
不遇な現実に嫌気がさしたのかどうかわからないが、彼はバニシングポイント(消失点)を探し求めているのだ。
そしてそのバニシングポイントを見つけた時コワルスキーの顔には笑みが浮かび、アクセルを踏み込むのだった。
白いダッチチャレンジャー それはヒッピー文化の象徴であったのです
デンバーからシスコまで車を運ぶ仕事
シスコから持ってきた車をデンバーで引き渡して、とんぼ帰りでまたデンバーからシスコに違う車を運転して帰る
デンバーとサンフランシスコ間はインターステート80号線をずっーーと走りつづけて2000キロ
調べてみると高速で所要19時間とでました
これを主人公コワルスキーは15時間で走ると豪語します
平均速度133キロ
瞬間的にはこれくらいでることはたまにあることですが、平均速度でこれはクレージーです
もう時効ですが大昔、知人の車に同乗してこれくらいの勢いで湾岸線を千葉までとばしたことがあります
死ぬほど怖かったです
日本でいうと青森鹿児島間とおなじ
日本は山や峠が多く高速でも制限速度が80キロの道が結構ありますから所要25時間
シスコはもちろんサンフランシスコのことだと、誰でもそう思います
ところが、終盤でカリフォルニア州警察本部とおぼしきハイウェイパトロールの表示盤に二つの矢印で図示されていたのは、サンフランシスコではなかったのです
本当にただの「シスコ」
そこは表示盤の地図から推測するとインターステート80号線から南に160キロも下がった辺り
スーパーソウルが「ソノラへ通じるドアだけは汚い花が咲いてねえ」といった田舎町ソノラの次の町くらいの設定
田舎の街道がそのままサンフランシスコに通じています
本当のシスコの町はデンバーからサンフランシスコにむかうインターステート80号線の途中、ネバダ州からカリフォルニア州に入ってすぐ、サンフランシスコへは残り300キロの地点にある小さな田舎町
ですから劇中のシスコは、その名前を借りた一応架空の町です
そんな小さな町にデンバーと車をひんぱんにやりとりするような仕事なんかあるわけありません
本当の目的地はやっぱりサンフランシスコのはずです
素直にサンフランシスコと思わずに、警察はデンバーの車屋が「シスコ」とだけ言ったことを四角四面に受け取っただけに過ぎないのかも知れません
しかし、なぜ監督はそんなややこしい設定をしてのでしょうか?
普通に考えたらすぐわかりそうなことも、他人には謎に思えるものだということなのだと、言いたかったのだと思います
バニシングポイントとは遠近法の消失点のこと
砂漠の中を真っ直ぐに伸びるインターステート80号線
消失点から豆粒のように現れ、消失点の彼方に猛烈な速度で矢の様に去っていく白いアメ車
ダッチチャレンジャーのスーパーチャージ
タランティーノ監督の「デス・プルーフ in グラインドハウス」でリスペクトされていました
本作は60年代から70年代初頭のヒッピー文化の盛衰をその白いチャレンジャーのように超高速度で振り返って総括していくのです
60年代
キザな走り屋をクラッシュ
資本家連中なんかクラッシュだ
センターラインを歪ませる
ルールなんか糞食らえ
俺達はやりたいようにやるんだ
砂漠の干上がった塩湖の湖底
誰もやったことのない新しい道を進むんだ
俺達はパイオニアだ
ここから70年代
蛇獲りの爺さん
ちょっと待て、俺達とどこがちがうというんだ?
俺達の行く末かも?
ヒッピーコミューン
俺の目指していた世界とはなんか違う
こんなこといつまでも続くわけがない
ゲイカップル
目的地は同じなのかもしれんが、こいつらとは分かりあえない
ゲイだからいい奴だとは限らない
ヒッピーカップル
ここも俺は居心地が悪い
フリーセックスは良いが、俺には忘れられない女がいるんだ
俺の居場所はどこだ?どこにあるんだ?
だから彼はバニシングポイントに向けてまっしぐらに走るしかなかったのです
盲目のDJスーパーソウルは主人公をヒーローに祭り上げます
それは退屈しのぎの面白半分であり、彼自身の為のラジオを使った反体制な扇動に彼を利用してみようとしただけに過ぎません
だから簡単に暴力に屈して警察に協力します
しかし最後の最後で彼を「もうダメだ」と止めようとしたのは何故でしょう?
かれの目的が分かったからです
自分が暴力に屈して辛い思いをして初めて分かったのです
デンバーの黒人のチンピラも新聞で彼の過去を知って目的が分かったようです
彼からの電話に「バカなマネはするなよ」と言い、電話が切れたあと不安な表情をみせます
目的が分からない?
それは序盤からもう説明されています
途中で挿入されるコワルスキーの過去で、動機もわかるはずです
目的は明確なのです
なのに目的が分からないと警察は悩みます
目的地はサンフランシスコなのは自明の事なのに、カリフォルニア州警は小さな町「シスコ」だと頭から思いこんむのです
そんなことは始めから明白なことなのに
チョッパーバイクの気の良いあんちゃんから貰うドラッグはスピード(覚醒剤)
やるよ、すごくあるんだ
そんなに要らねえよ
じゃ要るだけ
どうも
一睡もせず砂漠の一本道を猛スピードで走り続けていたのですから必要だったのでしょう
前日も日中走りつづけてデンバーに着いたのです
2日は寝てないことになります
でもそんなことの説明にこのシーンはあるのでしょうか?
死に急いでいたのです
だからあれほどの走行速度(スピード)が必要だったのです
でも死ぬだけのスピードで十分なのです
人生の消失点に向かって彼はアクセルをベタ踏みします
ヒッピー文化を猛スピードで回顧するかのように西部を走り抜けていく白いダッチチャレンジャー
つまりその白いアメ車は、ヒッピー文化の盛衰そのものを象徴していたのです
そして未来へのバニシングポイントの手前で二つの鋼鉄の壁に阻まれ粉々になってしまうのです
ひとつは普通の一般社会の壁
もうひとつはヒッピー自身が野放図すぎた壁
そんなところだと思えます
カルフォルニアの美しい浜辺での記憶
冬のサーフィンで水死した恋人の思い出
それはヒッピー文化の終焉を意味していたのです
美しい甘美な思い出
今はもう取り戻すことのできない
もはや過去になりつつある記憶
ヒッピー文化の総括を本作は1971年に撮ってみせたのです
それ故に名作なのです
アメリカ・ニューシネマの、もうひとつの傑作
アメリカニューシネマは、この作品とボブ・ラフェルソンの「ファイブ・イージー・ピーセス」で、更に内省的な深みを増し、しみじみとした余韻を与える境地に到達した。「イージーライダー」の衝撃には及ばないも、カーアクションの派手な外装と従来の映画話法を消化した内装で、スピードの限界に挑戦する男の限りなきロマンと崩壊を描く。
当時の雰囲気なのかな
・販売した車を移動する仕事をしていて途中に何故、なにかも嫌になったように警察を無視して突っ走たったのかがわからなかったけど、それが当時の感覚なのかなと思ったのと、目的が絶対に必要なの?と問われている気になり考えさせられた。
・全裸でバイクに乗って遊んでいるシーンが面白かった。
・盲目の黒人のラジオが楽しそうで良かった。すぐに考え込んだり、白人にぶっ壊されたりして暗くなってって可哀そうだった。
ただただ無言で突っ走る映画
ここまでセリフの少ない映画は他にないですね。特に主人公のコワルスキーはホントになにも喋らない 笑 ただただ無言でチャレンジャーを猛スピードで走らせるだけとの映画。一見すると、面白くない映画に見えるけど、なんとも言えない魅力があって、全然見れちゃう。
走行シーンで見えるこの当時のアメリカの各地の景色や、雄大な風景は見ているだけで楽しいし、それに加えて、並走シーンの迫力、地面を走るアングルの疾走感、そして、喋らない主人公 笑。思うに、自分自身が、この激走ドライブをやってるような感覚になれるのがこの映画の魅力なのかもしれない。
もはや、極力走行以外の展開はなくてもいいと思ってたから、個人的な集会とかゲイのヒッチハイク強盗とかなくても良かったかもな。しかも、終盤にきて魅力がどんどんなくなっていった・・・。いろいろ登場人物ができてきて、走行シーンが少なめになって、終いには、素っ裸でバイクに乗るねーちゃんが登場!狂気の沙汰 笑
にしても、ドラッグや黒人差別がさほど悪でなく、日常感をもって描かれているのは、時代を感じますね・・
これぞ!
ベトナム戦争、チョッパーバイク、マリファナ、ヒッピー、黒人、ゲイ、そして体制側の象徴である警察やカーボーイ、反体制の象徴であるコワルスキー。
これぞアメリカンニューシネマという作品だと思います。当然作品には、当時のアメリカ社会に対する怒りや反発、悲しみが溢れています。
コワルスキーのゴールは、カリフォルニアです。カリフォルニアは、ヒッピー文化が盛んな自由な場所です。また、反戦運動も盛んでした。
ベトナム戦争で深い傷を受けて、孤高に生きるコワルスキー。コワルスキーが、カリフォルニアを目指す意味を深く考えずにはいられませんでした。
プライマル・スクリームの「バニシング・ポイント」というアルバムがふと脳裏をよぎりました。
3つの視点を切り替えながら進む展開がカッコいい!
最初にクライマックスを見せてから、それまでの経緯を描く作品を見たのが初めてでとても面白かった!
カーチェイスと共に主人公サイド、警察サイド、ラジオ局サイドの3つの視点で物語を展開させていくのもハラハラして飽きずに観れた。個人的には警察を撒く為の作戦には驚いたなぁ…。
ただ、最後までハッピーエンドで終わるんじゃないかって期待してただけに、あの終わり方は哀しかった…。
タランティーノの映画から
デスプルーフ in グラインドハウスの作中で知ってみたくなった映画
カーアクションがすごいって聞いてみたらカーアクションしかない映画だった
ただひたすら車を走らせるだけなのに、なんのために走り続けるのかとか全く気にならなった
かっこいい映画だなあ
アメリカ原住民とかドラッグが絡めてくるあたりがこの時代の映画らしくてとてもよかった
いつかあんな荒野を車で走ってみたい。
傑作
初めて観たのは大学生のときでしたが、主人公や車(チャレンジャー)がとても活かしていて、またラストが印象的で忘れられない映画になりました。私はカーアクションの映画はほとんど観ないんですが、これはカーアクションがあまり好きじゃない人も観てほしい作品です。アメリカンニューシネマの傑作だと思います。
車好きにはもってこい^^
ストーリーなんて、ありません^^
ただただ最初から最後までダッジチャレンジャー(たしか)で爆走するのみ。
なのに!むっちゃたのしい^^
でもこの映画は好き嫌いが分かれると思います。
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