劇場公開日 1952年12月25日

「我が家では「娘は生涯 娘のまま」は妻の台詞かも…」花嫁の父 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0我が家では「娘は生涯 娘のまま」は妻の台詞かも…

2022年6月21日
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全くの知識外の作品だったので、
本来は観ることのなかったはずだったが、
たまたま最近エリザベス・テーラー主演の
数作品を観ていて、
その彼女の出演を知って
NHKの放映を機に初鑑賞。

しかし、私的には残念な鑑賞だった。
エリザベス・テーラーは美しさの頂点の頃の
作品なのだろうが、
この時の実年齢の18歳には見えないのは
彼女にハツラツさの欠けているのか、
美し過ぎて親近感が湧かないのか、
ヘップバーンやグレース・ケリーとは
異なる印象を受ける。
いずれにしてもなにせ主役はお父さん。
娘役が彼女である必要性や存在感を
強く感じさせられることはなかった。

さて、この作品、コメディとはいえ、
自宅での婚約披露宴や披露宴の準備、
教会でのリハーサル、
そして自宅での披露宴、
その全てのシーンにおいて
トラブルや混乱が大袈裟に
しかも延々と演じられ、
下手な舞台劇を観ているようで
興醒めしてしまった。

折角の名優スペンサー・トレーシーが
演じているにもかかわらず、
「老人と海」では原作を超える彼の演技を
引き出せずにいたように、
この作品でもヴィンセント・ミネリ監督の
ミュージカル演出志向を持ち込んだ結果、
そのデフォルメ感に埋没して、
彼を生かし切れていなかったように思える。
ついつい「招かれざる客」での
スタンリー・クレーマー監督の演出で
見事な演技をみせたスペンサー・トレーシー
と比べてしまう。

結婚式のシーンでの
娘がバージンロードを戻る際に
父親と目線を合わせるシーンでは
流石に涙腺が緩んだが、
ラストシーンでの父親の台詞、
「息子は嫁をもらうまで、
でも娘は生涯 娘のまま」
は、義母と妻、妻と娘の親友同士のような
特別な関係を見ていると、
女の親子同士は正にこの台詞通りに
実践されていると感じる中、
自分と娘の関係になると、
「娘は生涯 娘のまま」となってくれるかが
途端に自信がなくなり、
緩んだ涙腺も閉じてしまった。

KENZO一級建築士事務所