「この時代の深刻な社会問題が提起される」波止場(1954) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
この時代の深刻な社会問題が提起される
総合60点 ( ストーリー:75点|キャスト:65点|演出:60点|ビジュアル:60点|音楽:60点 )
波止場の全てを仕切る悪の親玉がいるが、この時代ならば本当にそのようなことが普通にありそう。搾取される労働者と、彼らの存在の上に成り立つ働かないのに裕福な既得権益層があり、社会問題の提起も含めて面白い主題だった。ボン・ジョビの名曲「livin' on a prayer」の歌詞を思い出す。やはり強大で凶暴な組織に逆らうのは怖いものだ。既得権益層に逆らうということは、本来は搾取されている側の労働者仲間から見放されるということだから味方がいないのは辛い。若いころに最初に観たときはそうでもなかったが、このような状況がわかるようになるとその深刻さが理解できる。
だが制作年が古いこともあって、演出が古くてあまり迫力がないのだ。人を殺す部面も殴りあう場面も悪い奴らが凄む場面も、現代の映画からみると弱い。唯一、タクシーの中の兄弟の会話は悪くなかった。たくさんの賞をとった有名作なのは知っているのだが、それほど面白いと思ったわけではない。同じ原作で再映画化すればずいぶんと良くなると思う。
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