劇場公開日 1960年12月22日

「ヘップバーンやグレース・ケリーとは異なる妖艶な美貌が…」バターフィールド8 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ヘップバーンやグレース・ケリーとは異なる妖艶な美貌が…

2022年6月10日
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鑑賞方法:DVD/BD

エリザベス・テーラーの
アカデミー主演女優賞受賞も、
各登場人物の心理描写も、
その絡み具合も無理くり感が強く、
なかなか理解の及ばない作品だった。

端的に言えば、
お金も、愛も、友情も、全てを求めた娼婦の
悲劇と言うべき話だろうか。

そして、共感出来る人物が
ほとんど出てこないと言う内容では、
作品に没入することも難しかった。

少女時代の主人公に性的な悪戯をする
母親の恋人(彼女の告白ばかりだが)、

本人の自発性ではあったのだろうが、
彼女の娼婦生活を
友人と共に黙認し続ける母親、

恋人がありながら主人公を部屋に引き入れ、
娼婦であることを止めさせることもせずに
甘やかして彼女の誤解を誘導する音楽家、

そして、娼婦と知りながら愛してしまい、
自業自得から彼女を精神的に
追い詰めてしまう富豪の娘の夫。

そして、その数多くの共感出来ない面々の
中心にいるのが主人公だが、
ここまでくると彼女が誘蛾灯の如く、
彼らの人生を狂わせてしまったと
言えなくもない。

思い返せば、エリザベス・テーラーは
「陽のあたる場所」でも「クレオパトラ」でも、
その美貌が故に周囲の男性の人生を狂わす
ような配役が多いイメージだ。
その辺りが
ヘップバーンやグレース・ケリーの
周囲の人生を明るくする配役とは異なる
印象がある。

離婚を繰り返した人生と同じように、
妖艶な雰囲気を併せ持った美貌が故に、
なかなかポジティブな役柄には
恵まれなかった女優人生だったのだろうか。

KENZO一級建築士事務所