バス停留所のレビュー・感想・評価
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映画史上最悪の腹立たしい男
未だかつてこんなに腹立たしい人間はいない程の自分勝手なノータリン男の話でした。
同情すべき点も、いい奴的エピソードも皆無。ひらすらイヤなバカ男です。
ラブコメディだから仕方ありませんが、ハッピーエンドをこれほど恨めしいと感じた映画はありません。
MM先輩が映画関係者から総すかんを喰って久しぶりにハリウッドに戻っての満を持した作品で最高の演技と賞賛する評価も散見されますが、薬漬けの白塗りも痛々しく、それほどのものとも感じられません。先輩なのでオマケの4点。
マリリン・モンローという着ぐるみ
ちょっと昔、新宿歌舞伎町の風林会館の多国籍キャバクラに入った
ついた女性は白人の、金髪でこそないがマリリン・モンローのような超グラマーな女性だった
しかし彼女は見た目とは違って、まるで吹き替えの洋画を観るかの様にとても流暢な日本語を話した
「この外人の外見は着ぐるみと思って下さい
中身は普通の日本人なんです
両親はスペイン人ですが、日本で生まれて日本の公立の幼稚園や学校で日本人の友だちと一緒に育ちました
梅干し茶漬け食べて、風呂に入って、あ~幸せと普通に思うひとなんです
だから普通の日本の女の子が隣に座っていると思って下さい」
そう青い瞳の彼女は話した
その話を本作を観て思い出した
マリリン・モンローも同じだと
彼女の抜群のセックスアピールを持つ肉体は着ぐるみなんだと
内側にいるのは真面目な本格派の女優を目指して努力している女性ノーマ・ジーン
彼女はその恵まれた外見を武器にして女優のチャンスを掴めた
そして逆に。その外見は本当の彼女の性格とのギャップで彼女自身を苦しめている
頭の悪い金髪女性のイメージから脱皮しようと、マーロン・ブランドなどそうそうたる俳優達がこぞって学んだメソッド演技法を身に付けて復帰したのにも関わらず本作の役はこの通り同じであった
確かに彼女の表情、仕草、目線は今までの作品からは明らかに変わって優れたものになった
しかし、それは誰からも求められていなかった
監督からも、映画会社からも、そして観客からも
無駄に名演技なのだ
本作を撮り終えた彼女の絶望はどれ程のものだったろう
恋愛アパートや結婚協奏曲での演技の様に開き直って徹底的に頭の悪い金髪女性を適当にこなした方が遥かに面白い映画になったはずだが、彼女は真面目過ぎたのだ
超絶な美女に生まれてしまった女性の孤独と苦しみを感じた
投げ縄
長旅の前にグレースの店で腹ごしらえ。女とはこんなもんだとか手にキスするなど色々教える相棒。泊まったホテルの向かいにある「ブルードラゴン」という大きな飲み屋。マリリン・モンローはハリウッドに憧れている流れの歌手だが、そこで歌う彼女に一目ぼれのボー・・・歌は下手だが色気たっぷりの歌手シェリーにまいってしまった。
いきなり結婚を迫るボー。強引に結婚の手続きも取られ、ロデオ大会を観ていたシェリーだが、徐々に不安になり逃げ出したくなった。相棒バージも逃げるのを手伝おうとするが強引さは度を増すばかり。シェリーがロス行きのバスに乗ろうとしたときに、投げ縄で捕まえるシーンなんてのも凄い!
まるで誘拐のように田舎モンタナまで連れていこうとする一行。大雪のためグレースの店で足止めを食らってしまう。そしてバス運転手との殴り合い。強引なだけではダメだ!初めて女性にキスしたという人生の転機、求婚という転機、振られるという転機。。助演男優賞候補ともなってるドン・マレーだが、完全に彼の成長物語。「ボーイフレンドは今までいっぱいいた」と告白するシーンとか、艶かしいよりもいじらしく思えるモンローがよかった・・・
野蛮なまでに自分に素直な田舎男と、その強引さに圧倒され流される可愛い女
総合:65点
ストーリー: 60
キャスト: 75
演出: 65
ビジュアル: 65
音楽: 65
イメージが先行しすぎて悩んだマリリン・モンローが、真面目に演技を学校で学んだ後に撮影された映画。
信号もないモンタナのド田舎育ちのカウボーイが初めて都会のフェニックスに出て、ハリウッドを夢見て歌手をしている不幸な生い立ちの女と出会い、野蛮人の振る舞いそのままにまるで牛でも扱うかのように彼女を扱う。育ちも人生の目的も生き様も何もかも違う彼らがうまくなどいくはずもないように思えるのだが、それでも殆ど略奪結婚と言えるほど強引なやり方だが、だがそのあまりに型破りで自分に率直な男に圧倒されて惹かれていく。本当にこんなことでその後もうまくいくのかと見ていて不安になるが、最後のバス停留所での矯正の場面もあって古き良き時代のコメディ映画ではこれは大丈夫ということなんでしょう。
多少の映画としての強調もあったにせよ、本当にこんな時代だったんだろうという気もします。当時の人の生活も価値観も映画への期待も随分と現代とかけ離れているなと思う。セックス・シンボルと言われているマリリン・モンローだが、それでもその映画は現代から見ると随分と健全。男は男なりに何も計算なしで本当に自分の天使のために行動しているし、映画全体の道徳観に悪意がない。
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