「オバちゃんの桃源郷」バグダッド・カフェ ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
オバちゃんの桃源郷
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「バグダッド・カフェ」の上映当時、私はミニ・シアター作品を鑑賞することが「イケてる」と思っていたティーンエイジャーでした。内容は良く分からないけど鑑賞しただけでオシャレになった様なそんな気持ちにさせてくれた数々の作品。「バグダッド・カフェ」もそのうちの1本。
そして、そんな時が懐かしくて数十年振りに再鑑賞。
フィルムの美しさと気だるい音楽だけが印象に残っていたのですが、中年女の友情と再生を描いたなんとも頼もしい作品だったではありませんか。
モーテルの女主人ブレンダが抱える日常的なイラつきも、ドイツ女性ジャスミンの抱える心の流浪も、自分が人から認められない「疎外感」が原因。立場の違うふたりが互いに互いの人生を認めあった時から、友情が育まれていきます。ブレンダが持っていない大らかさとジャスミンが持てなかった子供。彼女達は、お互い持たないものを通じて喜びを分かちあいます。
ありったけの明るさで周りを照らせば、人は割とどこでもやっていける。相手を認めれば認めるほど、人は互いに優しくなれる。自分を認めれば認めるほど、もっともっと満たされる。色んな人がいるから、人生を補いあえる。そう、私の人生も。
この作品は、中年女を「孤独」や「疎外感」から解放してくれるオバちゃんの桃源郷の様な作品です。
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