「これもまた、アメリカ・・・」バグダッド・カフェ おまつさんの映画レビュー(感想・評価)
これもまた、アメリカ・・・
なんか心地いいんですよね、この作品。
舞台はアメリカ西部の殺風景な砂漠にある寂れたカフェ。そこにはカリフォルニアの華やかさやニューヨークのクールさや、はたまたコロラドの大自然も何もない。出てくる登場人物も一人としてまともな人がいなくて滑稽な人たちばかり。我々が昔、憧れていたアメリカのひとかけらも見当たらないんです。私も以前にロス近郊に住んでいたことがあってラスベガスへの道すがら何度かロケ地になったこのカフェへ立ち寄ったんですが(その当時はまだ細々と営業してました)、ほんと、なんにもないんです。よっぽど長距離ドライブで限界間近にでもならない限り、普通の人はエンジン止めることはないような場所です。ましてや映画の舞台になんかなり得ない場所です。
同じアメリカでも、世間から忘れ去られているようなこんな魅力のない場所だけど、この作品の中では地味ではあるけれど素敵なドラマが繰り広げられていくんです。この作品の監督さんはドイツの方で、我々と同じ外国人の目のフィルターを通して見た滑稽なアメリカを優しく描写しているような気がして、思わず笑ったり切なくなったり、その表現に共感しちゃうんですよね。私の中ではいつまでも心に残るだろう一本です。
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