バグダッド・カフェのレビュー・感想・評価
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主人公・ジャスミンの描き方が良くも悪くも印象的。
○作品全体
脈略のないシチュエーションのファーストカットから始まり、ダッチアングル、短いカット割り、イマジナリーライン無視のカメラ位置。鳴り響くラジオの音楽も相まって混乱と無秩序な世界から始まる。
この演出がジャスミンにとって不協和音の世界であるというのは、作品後半の気を衒おうとしない、落ち着いたカメラワークが証左だと思う。ただ、ジャスミンを「空き缶を車に持ち込み、夫の言うことに耳を貸さずに果てしない道をヒールで歩いていく謎大き女性」という、突拍子もない登場人物に仕立てているのは首をかしげる。作品後半の周りが巻き込まれるほどの愛嬌と親しみをもったジャスミンと繋がる部分があまりにも少ない。作中にジャスミンが2人いるような違和感を覚えた。
自己表現を言葉と行動で全開に行うジャスミンと、無口でブラックボックスの多いジャスミンの間に奇抜な映像演出を挟む必要が正直無いと思う。ジャスミンの持つ魅力が夫の前では発揮できなかったから「2人のジャスミン」がいたのだ、と解釈しようとしたが、それであれば夫との関係性にもっと踏み込んで「今までのジャスミン」に触れるべきだし、やはり腑に落ちない。
ただ、冒頭の演出と物語が進めば進むほど強くなる違和感が「この物語はどこへ行くのか」という好奇心につながっていたことも事実だ。そしてジャスミンという登場人物の真の姿はどこにあるのかという興味、言い換えればジャスミンのキャラクター力が物語に推進力を与えていた、というのも間違いがない。
ただ、その好奇心が「主人公が新たなコミュニティの中心となり、ポジティブな空間へと変える」という、既視感ある描写に着地してしまったことが、自分の中で残念、と思ってしまったのも事実だし、それが自分の感想の中で一番大きい。
○カメラワークとか
・画面の彩度や色味を変える演出は面白くはあったけど、バグダッドカフェとその周りの空気を伝えるのであれば素の淡い褐色と青空で十分だなあと感じた。
タイトルを見るだけでテーマ曲が流れてくる
1990年代、スラムダンクで初めて知った映画です。 今のようにネットもなかったので、どんな内容かも知らぬまま、タイトルが印象的で覚えていました。 二度目にタイトルを目にしたのは、地元のカフェに大きなポスターが貼ってあって。大好きな行きつけのカフェで、映画のポスターやフライヤーがそこら中に貼ってあり、私もミニシアターで仕入れては貼ってもらいました。 そのポスターの印象と、スラムダンクでの印象は全然違っていて、さらに実際に観た印象も全然違っていて。 井上雄彦先生センスいいなぁと思いました。 冒頭の数分を見逃してしまったので、もう一度見たいですが、前半は好きで、後半は美談っぽくなってちょっと苦手でした。むむぅ。 音楽も色合いもいい感じ。 主人公が手がけて、だんだんキレイになっていく部屋と、どんどん緩くなってくる服装と。 モデル役を引き受けた主人公は、ぽっちゃりで美肌でなんとも魅力的。アンリ・ルソーとかフェルナンド・ボテロの絵画を思い出しました。
♪コーリング・ユー♪‼️
この映画を観ると友人に会いたくなる‼️落ち込んだときに観ると、すっかり元気になる‼️そんな映画ですね‼️砂漠の真ん中にある寂れたモーテルにたまたま辿り着いたドイツ人の太っちょおばさん、ジャスミン。ろくでなし夫に愛想をつかして追い出したモーテルの女主人ブレンダ。二人が友人になる過程を、日本でもヒットしたジュベッタ・スティールの歌う主題歌「コーリング・ ユー」の素晴らしすぎるメロディと、砂漠の誇りっぽい乾いた空気感の映像美で綴った心優しきファンタジーです‼️やはりジャスミンを演じるマリアンネ・ゼブレヒトの可愛らしい魅力‼️その人柄で周囲の人々を魅了し、手品でモーテルの集客に貢献し、労働許可書がないので働けないというピンチもジャック・パランス扮する画家の求婚でめでたく解決するラストまで、とても微笑ましい人情味にあふれた秀作‼️やっぱり人間って素晴らしいですね‼️
黄色いポット
あのドイツ人夫婦はなんでケンカしてたんだろう。
そこが謎。
汗をかきながらもスーツを脱がないジャスミン。
キチンとした性格。
わめいてばかりでガサツなブレンダ。
真逆である。
そんなジャスミンがカフェをどんどん片付け、きれいにしていくところはスカッとした。
ブレンダはめっちゃ怒ってたけど。笑
旦那の荷物に入っていたマジックセット。
どんどん上達していくジャスミン。
ちょっと出来過ぎ?
それと少し長く感じたかな。
ビザが切れて帰った後、どうやってまた戻って来るとは思わなかったので。
最後まで可愛い黄色いポットが作品に華を添えていた。
バクダットカフェに女神が…
人生ってこんなにも …人との出会いで変わる 変えてしまう…すごいな…と コミカルさもあり歌もあって おもしろく見やすい作品でした …家族をつくりたかった ジャスミンさんが素敵で魅力的でした
いつ観ても名作っすなー
公開当時、初見で結構感動した覚えが 内容はまあご都合主義の少女漫画だけど、暗い映画館の小さなスクリーンで観てるといいんだよなー、これ。 今、自宅テレビ画面のサブスクで観てると、やっぱり感動はだいぶ削げるなー。 部屋を暗くして集中して観るべき1本。 今観ても新鮮なのは、台詞を極力排除した構成。最近の映画はそれこそサブスク鑑賞も考えるので、洗い物しながら脇見されてもいいように、なんでも台詞で説明しちゃう。鬼滅の刃とか典型。「俺はこいつが憎い」「悲しい」とか台詞で言ってんの。子供向きだからわかりやすく&ながらテレビでもわかりやすくで意図的にそうしてるんだけどあれ、映像芸術の敗北だと思うんだよなー。
ミュージカルかと思った
アメリカのモハベ砂漠の中にある古びたカフェとモーテル。苛立っている女主人と、問題ありの家族。埃っぽい、殺伐とした国道沿いの雰囲気の中に、厳格な家庭っぽいドイツから来た女性が長期滞在することになり、家族と接することで、徐々にカフェ全体がにぎやかに繁盛することに。途中、ミュージカル的な場面があり、ブロードウェイミュージカルの劇場実写版かとおもったほど、米国的サクセスストーリーかな。全体的には実際にあり得んような設定で話は進むが、カフェが徐々ににぎやかになっていく様子は涙しました。音楽も、ジャズの定番となっている曲の"Calling You”が流れ、映画の雰囲気を歌詞で描写しています。Calling Youが、映画のテーマそのものという理解をしました。まったりした雰囲気で見るといいかも。カップルでみると良い雰囲気になるかも。
初見
こーゆー昔の「名作」てあまり観ない。 食わず嫌いです🤣 でも、今作は何回もTVでやってるし、 まあ名作と呼ばれて久しいので、 観てみるかっ、て上から目線😜 先ず、イラクじゃない事に驚いた🤣 アメリカにもバグダッドという地名があるとは😱 そして西ドイツの映画だという事😱 色々予想外。 苦手な西部劇でも始まるのかと思うほど、 広い砂漠でケンカ別れするドイツ人夫妻。 その広い砂漠のポツンと一軒家ならぬカフェで、 アホな亭主にいつもガミガミ怒ってる奥さん。 店員も、客❓もまあ間が抜けてる。 「コレは、どう観たら良いんだ⁉️」 序盤は時間の無駄かと少し焦る😓 ジャスミンとプレンダが打ち解け始めてから、 話がドライブし始める。 楽しくなる😊 全然不要なマジックキットで、 ジャスミンが手品を始める。 客が喜ぶ。その客が客を呼ぶ。 バグダッドカフェは大人気。 「ラスベガスを超えたショー」になる。 「そんなバカな❗️」な展開である。 が、それが微笑ましい。 しかし、ジャスミンのビザが切れて強制送還。 祭りの後。途方もない寂しさ。 再びジャスミンはカフェにやってくる。 最初は、ジャスミンが延泊しただけで、 勘弁してくれよ😩、 と悪態ついてたプレンダが、 ジャスミンと喜びの抱擁‼️ 号泣してしまった😭 そーか、 コレが名作と言われる所以で、 その後の映像作品に影響を及ぼしたであろう、 このプロット、素晴らしい‼️ この話、なんだか観たことあるかも、 と思っていたのは、 実は今作が原典であるだろうと確信した。 ラストもステキで、 途中の絵を描くシーンは、 何でこんなにエロいのか訳分からなかったが、 ラストシーンに必要だったのかっ‼️ ヤラレター‼️😱 水野晴郎センセじゃないけど、 映画ってホントにイイモノですねっ❗️ しみじみ思うおじさんでした🙇🏻♂️
かりそめの砂漠のオアシス
作品としての繋がりはないのだが、アメリカの砂漠地帯の映像を観てヴィム・ヴェンダースの『パリ、テキサス』を思い出した。まるで記憶を失ったかのように無口で砂漠地帯を黙々と歩き続けるトラヴィスという男。彼にはある目的があるのだが、ほとんど自分のことを喋らないため観客には彼の真意が分からない。
この映画に登場するジャスミンというドイツからの旅行者も、トラヴィスほど無口ではないにせよ、やはり自身のことは喋らないため観客には彼女の目的が何なのか見えてこない。
冒頭、彼女は車の中で夫と喧嘩をし、そのまま荷物を持って飛び出してしまう。
そして彼女が辿り着いたのは砂漠の真ん中にあるバグダッドカフェというさびれたダイナー兼モーテル。
行く宛のない彼女はいつまでという期限も設けず宿泊を決める。
この映画の面白さはこのバグダッドカフェに集う様々な人間模様にある。
まずはジャスミンとは正反対に常にイライラし、不満をぶちまけ続ける女主人のブレンダ。
彼女の夫サルは買い物ひとつも満足に出来ない甲斐性なしで、ブレンダに罵られた挙げ句家を飛び出してしまう。
が、彼はこっそり車中で双眼鏡を手に彼女のことを見守り続けるのだ。
息子のサロモは注意されても店の中でピアノを弾き続ける頑固者で、母親の分からない赤ん坊の父親でもある。
娘のフィリスは店の手伝いもせず遊び歩いている。
その他に常に脱力系の店員カヘンガ、トレーラーハウスで絵を描いて生活しているコックス、モーテルの中で入れ墨師の仕事をしているデビー。
そして中盤からテントを張って住み着くエリックという若者。
ブレンダは最初からジャスミンに好意を抱いていないのだが、彼女の部屋の掃除中に見慣れない道具や男物の衣装を見つけたことから、彼女を危険人物と判断し保安官のアーニーを呼んでしまう。
しかしアーニーはジャスミンのパスポートなどに不審な点は見られないためにそのまま立ち去ってしまう。
一方、少しでも居心地良く生活したいジャスミンは、ブレンダに内緒で店の掃除をするのだが、それがブレンダの逆鱗に触れてしまう。
が、表向きにはつんけんした態度を取るジャスミンだが、実は心の中では感謝をしているのだろう。
フィリスと打ち解け、サロモのピアノを理解し、彼の赤ん坊をあやす彼女に対しても、初めは何様のつもりだと詰めよってしまうブレンダだが、少しずつ彼女への警戒心を解いていっているのが分かる。
ブレンダは一度気を許した人間には、皆家族同然のように接するのだ。
やがてカフェの店員としても働くようになったジャスミンは客前でマジックを披露する。
その腕前はプロ並で、ここで彼女の部屋にあった謎の道具や男物の衣装の意味が分かる。
彼女のマジックを見たさにあらゆる場所から客が集まり、バグダッドカフェは繁盛する。
そしてコックスは彼女をモデルに絵を描き始める。
最初はどこかおどおどして精彩に欠けていたジャスミンが、見違えるように輝いていく姿がとても印象的だった。
しかし夢のような日々は唐突に終わる。
カフェを訪れたアーニーが、ジャスミンのビザが切れていることを指摘したのだ。
元々はジャスミンを追い払うためにブレンダが呼んだアーニーによって、結果的にジャスミンがバグダッドカフェを離れなければならなくなるのが何とも皮肉だった。
ここは砂漠の中のかりそめのオアシスだった。
非現実的に思われる舞台設定だが、そこで描かれる日常はとてもリアルに感じられる。
個人的にはサルが拾ってきたポットがとてもカフェの生活感をうまく演出していると思った。
ローゼンハイムとロゴの入ったこのコーヒー入りのポットは、実はジャスミンの持ち物であり、彼女の夫が車の中から捨てたのだ。
カフェのコーヒーマシンは壊れているため、ジャスミンを連れ戻しに現れた夫にサルはこのポットのコーヒーを差し出す。
夫は満足そうにそのコーヒーを飲むが、コックスはとんでもなくまずいコーヒーだと吐き捨てる。
ジャスミンも店のコーヒーをただの茶色い水と酷評したように、彼女と夫はかなり濃いコーヒーを好んでいたのだ。
新しいコーヒーマシンが来ても、カヘンガがポットでコーヒーを淹れようとしているシーンが印象的だった。
カフェの側にある給水塔、エリックが投げるブーメラン、コックスのトレーラーハウスと、画になるモチーフも多かった。
バグダッドカフェから消えたジャスミンだが、ある人唐突に彼女は戻ってくる。
また夢のような日々が戻ってくるかと思ったが、今度はデビーがカフェを出ていく。
あまりにも仲良くなりすぎたと口にして。
クライマックスはミュージカル仕立てのマジックショーという型破りな展開なのも面白かった。
そしていつまでもジャスミンがカフェで働けるように、コックスが彼女にプロポーズをするシーンで映画は終わる。
彼女の答えが気になるが、この流れから彼女が断ることはないだろう。
ジャスミン役のマリアンネ・ゼーゲブレヒトの個性的な風貌もあって、一度観たら忘れられない名作だ。
アメリカの田舎
砂漠の中にあるガソリンスタンド、モーテルを併設するバグダッドカフェに、ドイツから観光に来て旦那と喧嘩したジャスミンがたどり着く。 アメリカの田舎の、どうしようもなく悲しい家族がジャスミンによって変わっていく。 calling youの曲もメッチャ良い!
古き良作、ラストの曲が印象的
荒野の寂れた排他的なモーテルでワケありの部外者女が段々と受け入れられていく 前半のホコリっぽさと人間関係の不安定さを、掃除と気心で場所も人間関係も綺麗にして、さらにとある要素で成功していくストーリーで、まぁ悪い評価にはならないよねっという王道的展開で当時評価されたのも納得 ただ今の作品と比べると派手さはなく、映像は粗く、ストーリーがストレートで演出も狙った感が見える だけど、昔の映画にある地味さはある意味リアルっぽい質感があり、昔には昔の良さも感じることが出来る また最後の曲も印象的で、youtubeで曲名を探してプレイリストに登録してしまうくらいには名曲だった 昔の映画が大丈夫な人はオススメ出来る作品だと思う
これもまた、アメリカ・・・
なんか心地いいんですよね、この作品。 舞台はアメリカ西部の殺風景な砂漠にある寂れたカフェ。そこにはカリフォルニアの華やかさやニューヨークのクールさや、はたまたコロラドの大自然も何もない。出てくる登場人物も一人としてまともな人がいなくて滑稽な人たちばかり。我々が昔、憧れていたアメリカのひとかけらも見当たらないんです。私も以前にロス近郊に住んでいたことがあってラスベガスへの道すがら何度かロケ地になったこのカフェへ立ち寄ったんですが(その当時はまだ細々と営業してました)、ほんと、なんにもないんです。よっぽど長距離ドライブで限界間近にでもならない限り、普通の人はエンジン止めることはないような場所です。ましてや映画の舞台になんかなり得ない場所です。 同じアメリカでも、世間から忘れ去られているようなこんな魅力のない場所だけど、この作品の中では地味ではあるけれど素敵なドラマが繰り広げられていくんです。この作品の監督さんはドイツの方で、我々と同じ外国人の目のフィルターを通して見た滑稽なアメリカを優しく描写しているような気がして、思わず笑ったり切なくなったり、その表現に共感しちゃうんですよね。私の中ではいつまでも心に残るだろう一本です。
映像の美しさと音楽の心地よさ
初めて観たのはDVDでした。乾いた大地(オレンジ色)と青い空のコントラストに目を奪われました。 そして二度目は「完全版」を劇場で。 二度目でもやはり飽きることなく映像と音楽を堪能できました。 「コーリング・ユー」はいろいろな方がカバーして歌っていますが、ジェヴェッタ・スティールさんを超える歌声は無いですね。
不思議なノスタルジー
まずはCalling Youが好きですね。この曲のサビを聴くだけで寂しさと不安で胸が締め付けられそうになります。そしてそのイメージのままの風景、モーテル、レストラン、人々。後半は人々の笑顔や賑わうシーンが増えていくけど、私はこんな所にいたいと思わない、寂しくて不安でやっていけない。ずっとその思いは消えないけどどういうわけか、ああ懐かしいと思うのです。
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