「傑作中の傑作」灰とダイヤモンド goshiraさんの映画レビュー(感想・評価)
傑作中の傑作
学生時代にアンジェイワイダのブームがあって、その頃観たという記憶はあったが、内容はほとんど覚えていなかった。おそらく、学生時代の僕の知識では映画の背景を理解できなかったと思う。
しかし今見直して、あらゆる面で傑作だと思う。そもそも1958年のポーランドでこのような映画が撮れたということが信じられない。
ストーリーも映像も役者も、そして音楽も素晴らしい。例えばエンディング前のダンスのシーン、英雄ポロネーズが調子外れの音階で演奏されるなかダンスが踊られるが、それはまるで葬送の踊りのようであり、幻想につながっていく。1945年5月、ヨーロッパにおける戦争終結という祝祭の中で、この映画は1958年のポーランドを表現しているのだ。
有名なラストシーンも女の胸に抱かれて死んでいくような甘い結末にしていないのが素晴らしい。
生涯のベストテンに入れようと思う。
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