劇場公開日 1993年12月11日

「フィリップがブッチに対して警戒心を解くのが早すぎる」パーフェクト ワールド 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0フィリップがブッチに対して警戒心を解くのが早すぎる

2024年4月14日
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鑑賞方法:VOD

父親がおらず、宗教的な制約からクリスマスやハロウィンなどの楽しみも無い少年フィリップ。おそらく周囲の子ども達にも馴染めず、悶々とする日々を送っている。脱獄犯のブッチも、幼少期に父親からの愛情を受けることができなかった心の傷を負っている。そんな彼が、乱暴ながらも彼なりの愛情をフィリップに示すことで、擬似的な親子関係を構築していき、互いの心の隙間を埋めていく様子が心温まる。そのような脱獄犯ながら憎めない人間味のあるキャラクターを、ケビン・コスナーが上手く演じられていた。

少し残念なのは、フィリップがブッチに対して警戒心を解いて懐くのが早過ぎるところ。8歳の少年が、自分が人質に取られている事の重大性を認識していない訳が無い。ブッチが撃たれてからのストーリーを短縮し、彼に対してフィリップが徐々に警戒心を解いていく描写が序盤にあった方が、自然だしストーリーにも深みが出たんじゃないかと思う。

根岸 圭一