「ブッチも納得の行く人生だったと感じたはずだ」パーフェクト ワールド 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
ブッチも納得の行く人生だったと感じたはずだ
宗教上の制約から、子供らしいことがほとんどできない少年フィリップ。子供の頃からアウトローの世界に身を置き続けてきた誘拐犯のブッチ。彼らは子供らしい時間を過ごすことができなかったという点で共通していた。
だが、ブッチは自分が子供の頃にされたかったことをフィリップに与えることで、過去の空白を埋めることができた。フィリップもそれを受け止めることで、少年らしさを取り戻すことができた。荒んだアウトローの世界に身を置き続けてきたブッチも、彼なりのやり方でフィリップに与える行為を通じて、こんな人生でも生きててよかったと、納得の行く最後を迎えられたんじゃないだろうか。最後の彼の表情には、もう思い残すことも無いと言っているような清々しさがあった。
今作はクリント・イーストウッド監督作品の中でも『グラン・トリノ』に並ぶ良作と言っていいと思う。
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