バージニア・ウルフなんかこわくない

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劇場公開日:

解説

トニー賞を受賞したエドワード・オールビーの同名舞台劇をエリザベス・テイラー主演で映画化し、1967年・第39回アカデミー賞で主演女優賞など5部門に輝いた会話劇。「ウエスト・サイド物語」などの脚本家アーネスト・レーマンが脚色、原作の舞台演出を手がけたマイク・ニコルズがメガホンをとり、2組の夫婦が繰り広げる愛憎を描く。ニューイングランドの大学構内にある住宅で暮らす中年の歴史学者ジョージと年上の妻マーサ。大学総長の娘であるマーサは結婚当初からジョージを尻に敷いており、結婚23年目を迎えた現在、2人の関係は険悪なものになっていた。夜遅くにパーティから帰ってきた2人は、いつものように皮肉や軽蔑で応酬しあう。そんな彼らのもとに、生物学教師ニックとその妻ハニーという若い夫婦が訪ねてくる。ジョージとマーサの口論は彼らを巻き込んで激しい罵り合いへと発展し、事態は思わぬ方向へと展開していく。

1966年製作/131分/アメリカ
原題または英題:Who's Afraid of Virginia Woolf?
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:1967年3月11日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第39回 アカデミー賞(1967年)

受賞

女優賞 エリザベス・テイラー
助演女優賞 サンディ・デニス
撮影賞(白黒) ハスケル・ウェクスラー
衣装デザイン賞(白黒) アイリーン・シャラフ
美術賞(白黒)  

ノミネート

作品賞  
監督賞 マイク・ニコルズ
男優賞 リチャード・バートン
助演男優賞 ジョージ・シーガル
脚色賞 アーネスト・レーマン
編集賞 サム・オースティン
作曲賞 アレックス・ノース
音響賞  

第24回 ゴールデングローブ賞(1967年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) リチャード・バートン
最優秀主演女優賞(ドラマ) エリザベス・テイラー
最優秀助演男優賞 ジョージ・シーガル
最優秀助演女優賞 サンディ・デニス
最優秀監督賞 マイク・ニコルズ
最優秀脚本賞 アーネスト・レーマン
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映画レビュー

2.0戯曲はさておき映画としては時代の経過とともに陳腐化した作品

2024年6月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

タイトルの「バージニア・ウルフ」に興味を惹かれて見た。これは…小説家ヴァージニア・ウルフとは何の関係もなく、米国中流家庭の空洞化を描いただけの作品ではないか。しかも、演劇としてならいざしらず、映画としてはただの中年夫婦の夫婦喧嘩を通じて、内に秘める双方のエゴや虚構を暴いたもので、あまりに退屈だ。それが第一印象だった。

とはいえ、映画にも戯曲にも時代性はつきまとう。エドワード・オールビーの原作が発表されたのは、米国が黄金の50年代の後、変革の60年代を迎えた1962年、映画も1966年である。

小生は演劇には無知だが、早川の文庫本解説によると、この戯曲は「アメリカ演劇の内容と方法の枠組みを変換することになった歴史的問題作」だという。
当時の演劇界は、テネシー・ウイリアムズ、アーサー・ミラーらの商業演劇の成功と、ベケット、イヨネスコら「不条理演劇」の不成功との間の空隙を埋めるものが求められており、オールビーはそこに強引に割り込んで行った。

形式的には単なるリアリズムに過ぎないように見える彼の作品の新しさは何だったか。
「当時のリアリズムには表現上の写実主義とは別に、イデオロギーとしての因果律が鉄則のごとく前提」されており、「必然的に物語は予定調和的な構造に傾斜していく」ものだったため、「リアリズムという言葉とは矛盾する、むしろ作り物的な構造を内包」していた。そうした「リアリズムの虚構を打ち砕いたという点で、まさにアメリカ演劇の質を変えた」ということらしい。(一ノ瀬和夫「『邪魔者』登場」)
平たく言えば、常識的な「家庭」観念を打ち破ったということか。ならば、まさに時代性でしか語れない作品ではないのか?

米国映画には「家庭が第一」という価値観が、強迫観念ででもあるかのように執拗に繰り返し繰り返し登場するので、日本人としては面食らうことが多い。あるいは日本ではそれだけ「家庭は盤石」だと思っているせいかもしれないが、それはさておき、現在でも家庭第一主義が大手を振っているなら、60年代におけるその価値観の大きさは容易に想像できる。

経済的繁栄による物質文明の発展とコミュニケーションの拡大の中、片や若者文化がこの家庭を脅かす。例えばジェームス・ディーン『理由なき反抗』、例えばビートルズ『シーズ・リーヴィング・ホーム』、例えばヒッピー文化にベトナム反戦運動。
しかし若者に突き崩される前に、家庭の内実はボロボロ、スカスカではないかという糾弾には、それなりのリアリティ、時代のもたらす切迫感があったのだろうと想像する。

wikiは柄谷行人の「タマネギの皮をむくように現実の表層を剥ぎ取っていったら何も残らなかった。それでも元気を出せ、とオールビーは歌った。それは身に染み入るような感じだった」という評を紹介しているが、家庭崩壊の物語を反体制運動崩壊の比喩ででもあるかのように受け止める理解の仕方が、60年代の日本にはあったのかもしれない。今となっては陳腐化して意味不明としか言いようがない。

ただ、これを夫婦の普遍的関係の一つとして演劇にするなら、役者の力量を堪能できる作品には違いない。そのためか、本作はいまだに各国で上演され続けているという。
ちなみにこの三幕劇のそれぞれには、次のような幕の表題が付されている。
第一幕 たわむれ
第二幕 バルプルギスの夜祭り
第三幕 悪魔祓い
バルプルギスの夜に魔女が集って、悪の限りを尽くした後、最後に悪魔祓いをするのである。映画でも、テイラーが幻想の子にのめり込んでいくところを、バートンがキリスト教の経典を朗読しているのは、まさに「虚構の悪魔を払っている」という意味なのだろう。

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徒然草枕

3.5ヘイズコードにトドメを刺した作品とゆうことで興味を持って鑑賞(Wi...

2024年3月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ヘイズコードにトドメを刺した作品とゆうことで興味を持って鑑賞(Wikipedia調べ)

ほぼ2組の夫婦の登場人物ほぼ4人で進む会話劇。
夫である男2人は、対面的な男らしさ家長としてのプライドを守ろうとしているのに
それがボロボロと剥がれていき
妻である女たちは、理想的な妻としての振る舞いはまったくしない(全然幸せそうでもない)
実に人間らしい4人が、もがき苦しみながら、なんとか対面を保つように振る舞おうとする様がとても滑稽。

まったく“正しくない”家庭像を描いたこの作品がヘイズコードを終わらせたのはとても興味深い。

配信で鑑賞

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madu

4.5発見の妙

2024年2月19日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

不条理劇「動物園物語」を書いたエドワード・オールビーのもう一つの“題名は聞いた事のある”戯曲が同作。
そもそもバージニア・ウルフという人にしてからが、名前は耳に馴染みがあるのに、謎。ウィキを見れば記憶の通り前世紀前半に活躍した先鋭的な女性作家。舞台でもおなじみの「オーランドー」や「ダロウェイ夫人」を書いたが、カギ括弧のない一人称の語りがページを埋め尽くしてるのを見ると「またいつかね」と閉じてしまう。
閑話休題。モノクロ映画。熟年夫婦二人の宅に、若い夫婦二人が夜遅く訪れる開始から引き込まれて目が離せない。この映画を撮ったマイク・ニコルズは元々舞台俳優でこれが監督一作目というが、秀作。次作「卒業」で賞を取った。
見終えた後クレジットにエリザベス・テーラーの名を発見。ヘプバーンに先行する米映画界の国民的ヒロイン、といった評を昔から耳にしていたが、この女優の演技姿を初めてちゃんと見たのが、一ヶ月ほど前、ジェームス・ディーンが出演した僅か3本の一つでついぞ観なかった「ジャイアンツ」。
この作品が長尺ながら名作と言える内容であった。(確か中学の頃JD出演のこれは「理由なき反抗」「エデンの東」に比べていまいち、なんて無神経な風評が流れていた。十代とはそういうもの)

「ジャイアンツ」の10年後が、「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」(1966)。モノクロ映像という事もあるが、気づかなかった。計算すればこの時エリザベスは30代。50代と見紛う爛れた風情は仰天ものだ。その夫を演じた、実生活でも夫だったリチャード・バートンは40過ぎだがこれも定年間近な教授の風情。
学長の娘に惚れられ、結婚を選んだ夫と妻の晩年の悲哀がじわじわと・・。若い夫婦との取り合わせも対照的で効果的なのだが、突出しているのがエリザベス・テーラー。清純で逞しいテキサス移住妻を演じた20代のテーラーとのギャップと合わせて見物。原作者オールビーもテーラーもバートンも英国出身だがあの誠実な雰囲気はどこから来るのだろう。
ともかく「ジャイアンツ」と共にお勧め。

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kawamo

1.0不条理でどうやって終わるのか?それだけが気になって♥

2023年10月6日
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鑑賞方法:VOD
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マサシ

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