ノスフェラトゥ(1978)のレビュー・感想・評価
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まとわりつく不穏な音楽が不安を煽る
雰囲気たっぷりのドラキュラ伯爵。ストーリーはゆったりと進んでいきますが、飽きはきません。
やっぱり昔の映画はCGに頼らない分、独特な味わいがあっていいですね。
支配者であるドラキュラが消滅したら呪いはとけるのかと思いきや、次の後継者に引き継がれていてちょっと意外でした。
光と闇のコントラスト
ドラキュラ映画らしい
怪演
吸血鬼映画の元祖と言われる1922年のドイツ映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」をリメイクした1979年の西ドイツ映画。
ストーリーは、オリジナルやブラム・ストーカーの原作を忠実にベースにしているものの、鬼才ヴェルナー・ヘルツォークが手掛けると、怪奇映画も格調高い作品になるものだ。
前半は、これ怪奇映画なの?と思うくらい詩的な映像が延々と映し出される。
音楽も含め、テレンス・マリックの「ツリー・オブ・ライフ」を思い出したが、ヘルツォークの映像美が冴える。
中盤、いよいよドラキュラ伯爵登場。
ドラキュラと言うと、ベラ・ルゴシやクリストファー・リーが有名だが、不気味さでは本作のクラウス・キンスキーには適わない。
元々“怪優”として名高いキンスキーだが、その怪優ぶりを存分に発揮。尋常じゃないくらいハマっている。もう怪人物にしか見えない。
“怪演”という言葉もこの為にある。
ドラキュラの下僕の男も、終始狂ったように笑い続けるキ○ガイ演技。
終盤、ヒロインのイザベル・アジャーニの首にドラキュラが噛み付くシーンは、一転してエロティズムが漂う。
ゾクゾクするほど怖い作品ではないが、怪奇と耽美の映像世界。
ヘルツォークの作品の中でも取っ付き易い作品だと思う。
余談だが…
「吸血鬼ノスフェラトゥ」に出演していた吸血鬼役の俳優は本物の吸血鬼だった…というユニークな題材の「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」もあった。
ウィレム・デフォーがこれまたハマり役!
悪夢は続くよどこまでも
BSつけたらやっていて、思わず最後まで観てしまった。
暑い夏の夜、怖い映画でも観て涼んでくださいな…っていうBS側の粋な計らいなのか?(そんな訳ない)
こんな悪夢みたいな映画を観たら、ますます寝苦しくなる。
俺のやってるのはゲイジュツだから、そこんとこヨロシク的なヘルツォーク。
そんじょそこらのドラキュラ物とは訳が違うんだぜぇと鼻息も荒く、悪夢は続くよどこまでも…っていうまるで救いもない話。
恐怖映画という範疇に収まりきらない狂気が目に痛い。
主演のクラウス・キンスキー、ベラ・ルゴシとはまた違った意味でドラキュラがはまり役。
つうかドラキュラなんて架空の存在よりキンスキーの存在自体がアブないコワい。笑っちゃうほど変すぎる。
女の首に噛りつくその様は
「おまわりさーん、ここに犯罪者がいますよっ」と叫びたくなっちゃうほど怪しい。
ロバート・ウォーカー(「見知らぬ乗客」)と並び、狂気俳優の二大巨頭か。
ドラキュラと対峙する女、イザベル・アジャーニが最高っ!!!に美しい。
「悪」に勝てるのは、強さでも科学でもなく「美」だけと云わんばかりのドヤ顔が素晴らしい。
世界中の「美」をしょって立つといっても過言ではない。
キンスキーとアジャーニの最後のシーンはなんつうか美しすぎて震えるよ。子どもが観たら絶対鼻血出すと思う。
その他、
延々と映し出される山々とか、棺を乗せた船とか、鼠の大群とか、突然踊り出す街の人たちなど、ヘルツォーク的な見所も満載で。
こんな怪作を威風堂々と壮大にやってのけてしまうヘルツォーク、やっぱり凄いと云わざるを得ない。
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