「イサク教授の長い1日。人生を振り返るとき。」野いちご あまおとさんの映画レビュー(感想・評価)
イサク教授の長い1日。人生を振り返るとき。
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イングマール・ベルイマン監督の作品 1957/スウェーデン
老医師イサクは、名誉博士号の授与式のためにルンドに赴く。半日の車での移動途中、様々なことが展開されるが、その描写が長い。
やっと街に着くころは映画もそろそろ終わる。すでに私たちは、何だかんだでイサクの人生の裏側を知った。そして、彼の人生の総括ともいえるこの日の終わりを共に身守る。
粋なつくりだ。しかし、笑いたくなるほど凝りすぎというか…。よくまぁ考えたものだ。しかし、さすがに不自然、詰め込みすぎ感が(笑) すべて回想の世界、空想の世界と捉えられなくもないが、ギリギリのところで時空の辻褄が合ってしまっているので、中途半端感が残る。
イサクは一流の社会人だが、温もりや愛情の吐露をせず、理性で制してきた。ヒッチハイクの医学生が過去の彼を象徴する。
医学生は神学生と激しく対立する。しかし、このどちらが正しいとは決め難いし、人間は流動的で変わり得る、と作品は語っていると思う。彼らは、別れを告げる窓の下で仲良く笑う。2人の間で女の子は生命力に溢れ美しい。
清々しく、さすが…のよい内容だった。
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