「【或る老齢の医学博士が、名誉博士号を授与されることになった道程で過去の思い出したくない出来事や、若者達や喧嘩する夫婦を乗せ乍ら様々な思いを胸にし、自宅に戻り静に眠りにつく物語。】」野いちご NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【或る老齢の医学博士が、名誉博士号を授与されることになった道程で過去の思い出したくない出来事や、若者達や喧嘩する夫婦を乗せ乍ら様々な思いを胸にし、自宅に戻り静に眠りにつく物語。】
ー 今作は、イングマール・ベルイマン監督の古典的名作という位置づけにある作品だそうであるが、”私にはあと40年ほど人生経験を積まないと真の良さは分からないかな。”と思った作品である。-
◆感想
・イーサク博士が夢の中で自身の死の幻影を見るシーンなどは、針の無い時計や、棺桶からはみ出た自身の姿などシュールレアリスム的でもあり、印象的である。
・冒頭の、博士が若き時に恋していたサーラを弟のジーグフリードに取られるシーンや、その後授賞式へ向かう道程で出会った3人組の男女や、喧嘩ばかりしている夫婦の意味合いが良く分からない。
・彼の旅に同行する息子エーヴァルドの妻マリアンは、彼の事をエゴイストと言い、夫との関係も良くない。
だが、二人は結局仲直りをするのである。
<イーサク博士はそんな様々な経験をしても、自宅に戻ると穏やかな顔でベッドに入り眠りにつくのである。
年を取ると昔の悔やまれることを思い出したり、死の恐怖に苛まれたり、若者との価値観に疎外を覚えたりするのかもしれないが、イーサク博士はそんな思いを全て受け入れ、寛容な精神で穏やかに眠りに着いたのかな、と思った作品である。
所謂、達観した人生観を表した作品なのだろうか。もう少し年と人生経験を重ねないとイーサク博士の境地にはなれないのだろうか。
それにしても、イングマール・ベルイマン監督は今作を39歳で公開しているのである。老成した若者だったのか、真の天才だったのか、両方だったのだろうなあ。>
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