「ニノチカの変わり様がよく分からない」ニノチカ 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
ニノチカの変わり様がよく分からない
ソ連の役人がシベリア送りを恐れたり、ソ連のラジオ放送に音楽が無いシーンがあったりと、全体的に社会主義国(ソ連)を貶して資本主義国を持ち上げる内容。今作が製作されたのが1939年という、世界恐慌の影響が尾を引く時代。それは、社会主義国ゆえに自国の経済が世界恐慌の影響をさほど受けなかった点で魅力的だったソ連へ、資本主義のイデオロギーを持ち上げて対抗したい意味も込められていたからでは、と想像した。
ストーリーはコメディタッチで中々面白い。冒頭のソ連の役人が適当な理由を付けて高級ホテルの良い部屋に泊まりたがるシーンは、出張にかこつけて遊ぼうとしているサラリーマンのようで笑えた。
違和感が拭えないのは中盤からのニノチカの変わり様。最初はソ連のイメージそのものと言っていいようなニコリともしない彼女が、レオンとの出会いで大笑いしてからキャラが大きく変わる。ここの変わり様も、社会主義国に染まった冷徹な女が、資本主義国で変わっていく様を描きたかったのかなと解釈した。しかし、あまりの変貌の意味がよく分からず、一体どういうことなのかと混乱した。
戦前、戦後直後の映画って、どう解釈していいのか分からない、難しい映画が多い。
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