日曜日には鼠を殺せのレビュー・感想・評価
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スペイン内戦
マヌエル(ペック)の留守中に彼の母親が死亡したと報せに来た神父フランシスコ(シャリフ)からの手紙を少年パコがトイレに破いて捨ててしまう。マヌエルが危篤の母のために会いにくるという罠が通じなくなったため、密告者カルロスを使って「まだ生きている」としておいたのを、死に際に伝言を授かったフランシスコが直接知らせるというものだった。
終盤は、それでも故郷に帰って暴れまくるマヌエルであったが、多勢に無勢、銃殺されてしまった。母が死んだのになぜ?という謎も残るが、少年の頼みや、自分の引退を考えてのことだったのだろうか。無謀な戦いという道を選んだにしては派手じゃなかった・・・
終戦後も続く 政敵への迫害
スペイン内戦後も 人民戦線派の残党には、激しい弾圧が加えられ、多くの国外亡命者を出す
20年たっても 帰国できないゲリラリーダーの マヌエル(ペック)に 病床の母を使った罠が、仕掛けられる
戦争だけの人生だったマヌエルが(見送る家族も居ない)、食堂の少女に手を振って、罠に向かってゆくのが 切ない
標的の警察署長よりも 裏切り者のカルロスを撃ってしまうのも…
記者の「政敵」という表現を「強盗」と言い換える署長に、政権側の憎悪と苛立ちが見える
(ヘミングウェイ、オーウェル、キャパらが取材した この内戦が、国際的注目を集めたこともある)
闘牛の場面があったが、終わらない攻撃もスペイン人の激しさだろうか
内乱時や ルルド巡礼の映像なども、興味深かった
裏切り者のカルロスは、許せないが、
罠に向かって行ったマヌエルが、往年の輝き(ゲリラリーダーとしての)を、煌めかせるのを見ると、
亡命先で 20年間、どんよりしてた彼を「売ってしまった」のも、ほんの少し理解できる…
敗残の男たちの 終わってしまった人生について、考えさせられた…
時折、爪弾かれるギターの音色にマヌエルの寂寥感を 感じる
グレゴリー・ペックは 兵士姿が本当に、さまになる(ベレー帽も 似合う)
そして 甘いマスクなのに、女性とも無縁そうである
不器用で、ピュアでもある 反フランコのリーダーに ぴったり
その禁欲的な風情が、マヌエルの人生を彷彿とさせ、 悲しみを誘う…
派手な映画ではないが、ジンネマン監督の考察が見て取れる
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