「欲望の代価はあなたの良心」ニードフル・シングス 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
欲望の代価はあなたの良心
勝手にキング原作映画特集その5。
今回は『ニードフル・シングス』!
原作ファンには、キング作品に度々登場する架空の町、
キャッスルロック最後の物語として知られている。
主演は驚くなかれ、エド・ハリス&
マックス・フォン・シドーの名優2人!!
キャッスルロックに新しく開店した
骨董品店『ニードフル・シングス(必需品)』。
そこは、喉から手が出るほどに欲しい超レアな
商品が何でも揃っている不思議な店だった。
商品に値札はない。購入の条件は2つだけ。
その商品に相応しいと自分が思う値段を支払うこと。そして、
店主ゴーントから依頼される小さな悪戯を実行すること……。
だがその小さな悪戯の数々が、街の中で
燻っていた小さな火種を、ひとつの街を崩壊
させ兼ねないほどの巨大な憎悪の炎に変えてゆく。
ゴーントが危険な存在であるといち早く気付いた
保安官アランは彼の企みを阻止しようと躍起になるが、
事態はみるみる内に最悪の方向へ——
さて本作、大多数のキング原作映画と同様、
原作をまとめきれなかった作品のひとつである。
登場人物はかなり削られ、残った人物も描写不足。
『欲しい物を手に入れる為なら他人を傷付ける事もいとわない』
という人の欲望の恐ろしさはかなーり薄れてしまっておる。
だが長大な小説を映画内で完璧にまとめるなんざ土台無理
な話で、そこを度外視してしまえば本作は結構面白い。
原作未読の方ならかなり楽しんで観られるんじゃないかしら?
特にクライマックスは、原作には(確か)全く登場しない
爆破シーン連発のド派手アクションに大幅改変されており、
原作を知る僕はアゴが外れて床に転がり落ちるほど
ポカーンとなったのだが、本作、なんでか知らんが
その爆破シーンの撮り方が実に見事(爆)。
『あの濃密な原作のラストがどうしてこんな
薄っぺらいB級活劇に……』と訝しみつつ、
なんだかんだでブラックユーモア溢れる
活劇として楽しめてしまうんすよ。
そして忘れちゃいけないシーンがもうひとつ。
とある人物が、クラシック曲『山の魔王の宮殿にて』
に合わせて大暴れするシーンは、本作最大の白眉。
曲と同調するように徐々に徐々に罪悪感が
薄れ、自制心の“たが”が外れていく様子は、
とびきり不気味であると同時にとびきり滑稽。ここだけ
切り取るなら傑作と呼んで差し支えないほどの名シーンです。
以上!
物欲を巡る人の狂気に、恐怖と黒い笑いが込み上げる佳作。
<了> ※2012.05初投稿
こんにちは。
コメントありがとうございます。
作品自体は知ってましたが初めて見て
意外といい作品だと思いました。
キング原作は外れが多いのでいつも
残念に思っていましたが
こういう作品もあると改めて思ってます。
ただ、原作とはラストちょっと変わって
しまってますから小説とは違うとも言えます。
ホラー大好きできびなごさんのレビューも
楽しみにしています。
また、コメントさせて頂きます。