劇場公開日 1960年2月10日

「世界が終わるとしても意外と人は普通に暮らす」渚にて 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0世界が終わるとしても意外と人は普通に暮らす

2021年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

アポカリプスものだけど、普通に日常が続いている。しかし、いつそれが終焉を迎えるのかわからない緊張感が漂う。主な舞台となる南半球はまだ無事だが、北半球はどうやら滅んでいるらしい。遠い異国の地が滅んでいるといわれても、ピンとこない。
後半、潜水艦で北半球に向かい、着いたのはサンフランシスコ。街が破壊された様子はないが、人がいない。死ぬときは生まれ故郷で死にたいと乗組員の一人が艦を抜け出す。
コカ・コーラのビンの使い方が本当にすごい。コーラは文明の象徴だろうか。人がいなくなってもモールス信号を送り続ける文明の残滓としてのコーラの空き瓶。
世界が終わる時、何をするか。だれもが一度は夢想したことがあるはず。自分の趣味に没頭するのか、穏やかにいつもの日常を過ごすのか。SFならではの壮大な終活だ。

杉本穂高