「汚らしい、けど中毒性のある映画」トレインスポッティング スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
汚らしい、けど中毒性のある映画
名作とは聞いていましたがドラッグがメインなので何となく手が出なかった映画でしたけど、見てみたら予想以上にヤク中映画でビックリ、しかも下品で汚らしさが半端じゃないし・・・こんなダメ人間で最低な人種のお気楽バカっぷりを延々見せられるのかと、最初は辟易としたものでしたが、何故か見ている内にいつの間にか嵌ってしまいました、まさしくドラッグ的中毒性のある映画だったなと思いましたよ。
特にポップな音楽&映像に完全にノセられてしまいました、とんでもなく悲惨で重苦しい状況なのに、そうは感じさせない作りが何とも絶妙でしたね、ダニー・ボイル監督のセンスの良さが色濃く出た映画だったと思いました。
しかしポップな作風とは裏腹に、ドラッグ描写が物凄く生々しかったなぁ・・・。
まあリアルかどうかは私には知る由もないですが、こんな風になるのなら、薬物には絶対手を出したくないと心から思わされましたね、ある意味薬物撲滅キャンペーンには最適な映画と言えるのではないでしょうか。
そして一度手を出したら止めたくてもなかなか止めれないのも、物凄く伝わってきました。
それを真面目に描かれたら重苦しくて見るに耐えないですが、まさかこんな風に描いてしまうとは、凄過ぎです。
それにしてもあのスコットランドで一番汚い便所のシーンには参りました、ちょうど飲み物を飲んでいた時にあのシーンだったので、あの汚水を飲んでいるような気分に苛まされて・・・(苦笑)
でもあのシーンは後世語り継がれるような名シーンでしたね、ある意味一生忘れないかも。
とにかく全編に亘って汚らしさが半端じゃなかった、でも最下層に堕ちた人間達を描くにはこれ以上無い汚らしさだったと言えましょうか。
それとドラッグ云々ではなく、最下層に埋もれる者と、そこから抜け出そうとする者を描いた映画として見ても、なかなか見応えのある内容だったかなと思いましたね。
ラストシーンは特に印象的、ドラッグを扱った映画なのに思いのほか終わってみれば不快感を感じなかったのは、クライマックスの作りが秀逸だったからなのかも、最後のちょっとした優しさもツボでした。
キャストも主役のユアン・マクレガーが素晴らしかったのは当然のこと、暴力的なロバート・カーライルを筆頭とした悪友達も個性的で皆印象深かったです、あと友達って何なんだろう、なんてこともちょっと考えさせられた映画でした。
まあ共感できるような映画ではなかったですけど、このぶっ飛び具合、一度は見ておいて損のない映画でしょう。